格差社会とたたかう
「貧困」「格差」という問題が、メディアを賑わすようになって、一定の期間がたちました。この問題は、経済学者だけではなく、さまざまな角度から論じられるようになっています。この本は、哲学などを専攻する研究者たちがこの「貧困」「格差」の問題に正面から挑んだもの。21世紀の変わり目の数年間で、格差・貧困問題が激しいスピードで深刻化したことを明らかにするとともに、この格差を容認する、「努力すれば報われる」「機会の平等」「自立支援」などの言説の、ごまかしを、1つひとつ明らかにしています。そして、現在、発信されている格差社会論なかに、格差の容認を内包し、格差とたたかえないものも少なくないことも明らかにし、あらためて格差とたたかう論理を問題提起しています。
哲学者の議論はやはり抽象的で、必ずしも読みやすくはない。個々の論者の政策的な物言いの部分は、一様ではなく、もう少しつっこんだ議論が必要だと感じるところ、納得できないところはある。また、格差から平等への議論を未来社会の構想へとつなぎながら、ここのところはものすごくもってまわったようないい方になっていること
など、不満はないわけではないが、格差容認への批判の論理は、”なるほど”と思わせるところもたくさんあり、論者たちの、熱い批判的な思いも十分伝わってくる。
「格差」や「貧困」を解決していく合意をひろげるうえで、たくさんの議論の材料を提起してくれる内容になっています。
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