反戦軍事学
最初に、誤解のないように言っておくが、この本は、安倍流というか、自民党流の憲法「改正」、日米同盟の強化には批判的な立場から書かれている。そういう意味では、大切な議論もされているし、こういう意見をもつ人との共同は大事だとは思う。
ただ、この人の書いたものはあまり好きではない。でも、”軍事”とタイトルにある、売れている本だから、とりあえず、読んでおかなければと、手にとってみた。今回の本も、全体として議論が荒っぽいのは残念でもある。軍事史を書いてある章などは、事実誤認もありそうだ。ただ、核問題や抑止力論をあつかった議論など、結構、おもしろく、痛快でもある。靖国問題の議論なども個人的には面白かった。出版社の紹介は
さまざまな軍事”常識をもとに、戦後体制を批判し、強行外交を唱える作家や知識人が後を絶たない。だが実は、その”常識”の多くは怪しげな俗説や思いこみであり、知識があれば、簡単に論破できるのだ…… だまされないためには、今や戦争を憎む者こそが、軍事に対する基礎教養を身につけなければならない!「駆逐艦/巡洋艦」の違いから、トレンチ・コートの由来まで、全国民が読んで楽しめる、軍事基礎教養講座!
残念な、いちばん荒っぽいのは、憲法にかかわるところ、国連軍と集団的自衛権を同一視するのはご愛敬としても、安倍流の改憲論には、対抗できても、この議論で、たとえば、小沢流の改憲論に対抗できるのかは疑問に思える。9条改憲で、自衛隊の際限ないアメリカ協力に歯止めをかけるという発想も、現実政治のなかで、やっと9条が最後の歯止めとなっているほど解釈改憲がすすんでいる現実を考えたとき、あまりにも楽観的。そんな感想をもつ。
読後感として、いちばんの感想は、大いに、議論をすることの大事さ。まず、軍事にかかわる現実を、直視して、議論をすることが、改憲策動への対抗としても大事な点。それなりに面白く読める一冊だった。
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