戦争の記憶を歩く 東南アジアのいま(追加)
アジアの戦争博物館や記念碑(慰霊碑)の現場を歩いて、現地の人の話を聞いて書かれたのが本書。アジアの人々が日本の戦争をどうみているのかについては、ときおり「しんぶん赤旗」などでも、みることはあった。本書でのべられている事件でも、たとえば、シンガポールにおける華僑の虐殺やタイとのあいだの41年12月7日の戦闘などについては、多少の知識はあった。しかし、本書を読んで、あまりにも東南アジアにおいての日本の侵略・戦争について、知らなかったことには恥ずかしくなった。
アジアの戦後政治の中で、経済大国となった日本には、アジアの多くの政権は敵対的態度をとることはない。日本の政権担当者の歴史認識に対しても、声高に批判したりはしない。しかし、その東南アジアで戦争の記憶はどのように伝えられているのか。私たちの知らない(日本では語られることのない)多くの事実がある。タイにおける第二の泰緬鉄道の被害、日本軍がフィリピンを撤退するさいの住民の虐殺……。そして、住民のあいだにいまなお残る対日不信や反感に対して、かの地の政権はどのようにこの問題を語っているのか。紹介されているマルコスの言葉が象徴的でもある。
静かに、形成されている日本の侵略への記憶。それを乗り越えて「和解」をすすめるに、著者は、新しい世代が、まず歴史を知ることからはじめて、新しい日本人の姿を示すことに期待する。私たちは無知であることを自覚すべきだとつくづく思った。
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