靖国神社 A級戦犯合祀に絡む内密資料
今日のメディアをにぎわしたニュース。
靖国神社 A級戦犯合祀に絡む内密資料 国会図書館公表(毎日新聞) 靖国神社へのA級戦犯合祀(ごうし)が決まるまでの神社側と旧厚生省との詳細なやり取りが28日、国立国会図書館の公表資料で明らかになった。両者が昭和30年代から内密に検討を重ねていたことを示し「合祀決定とするが外部発表は避ける」(69年)など生々しい記述が残されていた。戦後史の貴重な資料として注目されそうだ。 一連の資料は、神社が非公表の形で保管していたものを国会図書館に提供。…公表資料によると、BC級を含む戦犯の合祀の話し合いは、少なくとも1958(昭和33)年4月から始まった。同年9月に神社社務所であった打ち合わせで、厚生省側は「全部同時に合祀することは種々困難」と指摘し「先(ま)づ外地刑死者(BC級)を目立たない範囲で(合祀するよう)諒承(りょうしょう)して欲しい」と要請していた。 66年に同省は合祀の前提となる祭神名票(さいじんめいひょう)にA級戦犯も記載して神社に送付。その後は78年の合祀まで神社内で保留状態とされていたが、この間の69年には、双方が参加した検討会で「合祀可」の取り扱い決定をしたことが資料に記されていた。この検討会で外部発表を避けることも決められていた。ただ、合祀に慎重だったとされる当時の筑波藤麿宮司は、この検討会の参加者名簿にはなかった。
厚生省の担当部局は旧軍出身者が主導し、合祀に積極的だったということはこれまでも報道されてきたことです。昨年も、その関係者の発言がメディアを賑わしたことはこのブログでも紹介してきた。
http://ono-blog.cocolog-nifty.com/sikou/2006/07/post_267a.html
それが靖国の側の具体的資料で裏付けられたことになる。実際に、「靖国神社幹部は『靖国が勝手に合祀したのではないことが、はっきりするはず』としている」というのが報道。靖国にしてみれば、国がやってきたのだから、国は靖国に責任をもてと言いたいのだろうか。その関係で今日は、いちばん、産経新聞がはしゃいでいる。
しかし、ここで考えたいことは、戦後も、靖国と国が近い関係にあったことももつ意味だと思う。たんに一部の政治家だけではなく、官僚機構ふくめ、日本の戦後には戦前との連続性があったというまぎれもない事実の問題だ。ここに、いまだ戦争責任と向き合えない政府の根深さがある。
もう1つは、東京新聞のこの指摘。
慰安所経営の一般人も合祀(東京新聞)
日本占領下のインドネシアで民間の慰安所を経営し、BC級戦犯として有罪判決を受けた後、獄死した男性について、厚生省(当時)と靖国神社が一九六七年に合祀を決めていたことが二十八日、明らかになった。国会図書館が同日公表した「新編 靖国神社問題資料集」に盛り込まれた靖国神社の内部資料に明記されていた。政府は、いわゆる従軍慰安婦について「おわびと反省の気持ち」を表明しているが、これに先立ち、慰安所経営者の合祀に関与していたことになる。
靖国神社が、占領下のアジアで慰安所を経営していた一般人を合祀する方針を決めていたことが判明したのは初めて。…
「慰安所経営者が、戦争に貢献したことを国が堂々と認めている」ことになるわけで、ある意味で、現在の「慰安婦」問題での国の責任をあいまいにする背景みたいなものが透けてみているとも言える。
ちなみにYahooで、この問題を特集にたてていて便利。
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/yasukuni/
「『資料集』はA4判、約1200ページ。国保管資料や米側収集文書、中曽根康弘内閣時代の閣僚参拝に関する懇談会議事資料なども含まれている。国会図書館はホームページhttp://www.ndl.go.jp/で5月ごろまでに公開する予定」という。靖国の戦後史については、日本が戦争責任と向き合っていく上でも、現在にもつらなる大事な問題でもある。
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