真空地帯
山本薩夫監督の映画をふり返る、第2弾です。今日は、腰痛が出たため、静かに休んでいて、そのさいに、「真空地帯」のDVDを見ました。
原作は、野間宏の同名小説。「兵営の内務班は,陸軍刑務所帰りの木谷,大学出の曽田,獸性むきだしの古年兵など,多様な出身階層の人間を,兵隊という一つの鋳型にはめこんでゆく.そしてこの人工的な真空地帯では,残虐行為や不正が当然のように行なわれ,頽廃の極に達していた.大日本帝国軍隊の非人間性をヴィヴィッドに描いた記念碑的作品」として有名です。その原作を、山本監督がかなり忠実に再現した作品と言われている。
映画は、千葉県の佐倉に当時残されていた、連隊後で撮影されたのですが、ここに山本監督が徴兵されていたこと。監督はその後、中国に従軍することになるのですが。昨年、佐倉の歴博(連隊の跡地につくられている)でおこなわれた「佐倉連隊にみる戦争の時代」という企画展を見に行ったとき、この「真空地帯」の一部が流されていた。物語は、通番士官の金入れを盗んだということで、激しい拷問の末、2年間服役して隊に戻ってきた木谷一等兵の野戦行きまでの内務班での日々を、リアルに再現する。非人間的な、日本の軍隊に対する、山本監督の怒り、これを再び絶対に許してはならないという決意が、全編に貫かれている。
山田洋次監督が、エキストラとして、ラストシーンに出演しているというエピソードもある。
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わたしも,『人間の条件』をビデオで見たいと思っているところです。本のほうはもう前に売ってしまって,今になってはもったいなかったかなと思っています。『真空地帯』も,ぜひ見てみたいです。
投稿: KATEK | 2007/03/13 20:05
ちょっと音が悪いのが難点です。でも面白かったです。次は「暴力の街」を見る予定です。
投稿: YOU→KATEK | 2007/03/14 00:06