NHKスペシャル ラストメッセージ この子らを世の光に
この番組でとりあげられた糸賀一雄については、私は本のなかでしかしらない。昨年、『異質の光』という氏の伝記とも言える本については、このブログでも紹介した。
http://ono-blog.cocolog-nifty.com/sikou/2005/06/post_bd54.html
今日の番組を見ても、この糸賀という人がすごいなあと思うのは、たんなるニューマニズムから出発しながら、現実と格闘する中で、その現実を変えていく思想にたどりつく過程にある。。「異質の光」を発する、光り輝く、「この子らを世の光に」という思想にたどりつく。それは私たちがいま立脚する発達保障という思想の立脚点でもある。そこには、くり返し、社会では受け入れられないという壁に立ち向かい、そして乗り越える姿がある。番組では、はげしい葛藤だとか、干渉や妨害にはふれられていない。が、その姿は想像に難くない。
最近、糸賀さんの弟子とも言える田中昌人さんととにも障害児教育の大御所とも言える方と話をする機会があった。その方は、糸賀とともに、障害児教育の先人と言える近藤益雄についての本なども出されている方でもあるのだが、彼の教え子たちの少なくない人が、現職半ばで、仕事をやめたいといっているということを聞いた。職場の厳しさと、管理の強化の反映でもあるわけだが、そんななかでその先生は、近藤の生き方などをあらためて伝えて、時代のなかに生きる教師の姿を語りたいと話されていた。
こんな時代だからこそ、糸賀や近藤のメッセージを受けとめたいと思う。
以下、番組の紹介は、
国中が食うや食わずの窮状にあった昭和21年に設立された、日本初の知的障害児の教育施設「近江学園」。当時のフィルムには、寝食を共にし生き生きと暮らす障害児と職員たちの姿が記録されている。それはまさに「福祉」の原点である。
近江学園を設立した糸賀一雄(1914-68)は、「障害者と健常者が区別なく暮らせる社会を」と訴え続け、成人のための施設、女性のための施設、重度障害児の施設と、社会からこぼれ落ちていた弱き者との暮らしを拡充していった。そして講演中、「この子らを世の光に」と語った直後、心臓発作によって志半ばで逝く。
糸賀にはその活動を支えた二人の友がいた。池田太郎(1908-87)は、大人になった知的障害者たちが自活できる施設を信楽町に設立。田村一二(1909-95)は、障害者と健常者とが施設ではなく同じ村人として生活する「茗荷村」を建設する。そこには三人がたてた誓い「共に生きる社会」への萌芽をみることができる。
番組では、三人の遺志を継ぐ三つの現場「近江学園」「信楽寮」「茗荷村」にカメラを据え、“三人の誓い”の今、そして明日を見つめる。
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