フィンランドと学力テスト
今日は、午前様です。仕事がなかなか終わりません。今週は働きすぎです。疲れたあ。
それで、今日は、ブログをパスするつもりだったのですが、腹立つことが2つあったので、そのことを書いておきます。もう日が変わってるのですが、16日付でアップしておきます(笑い)。
1つは、朝のNTVのワイドショーです。辛坊なるジャーナリストが、最近、フィンランドの教育が注目されていると紹介したその内容です。
教員が大学院卒だという紹介はいいのですが、教員になるのは狭い門だと言ったくだり、あたかも教員になるための激しい競争、教員の激しい競争があると言っているように聞こえたのです。まるで、現在政府がすすめる、教師への競争原理の導入政策を肯定しているように。しかし、フィンランドの核心の1つは、教育活動の自由ということにあります。そんなことは何もふれない。
もう1つは、フィンランドでは、学力テストの結果で、悪かった学校には対策が求められ、そのために予算も支出されるといったくだりです。学力テストの公開が大事だと。日本で同じことをやれば組合が反対するといって、あたかも、今度、日本でおこなわれる学力テストを公開することが大事だと。ここには、2重にも3重にも、ウソがあります。1つは、フィンランドの学力テストと日本のそれとは、まったく性格を異にします。なによりもフィンランドのテストは、生徒の5~10%の抽出調査です。が、日本のそれは悉皆(全員)テストです。全員おこなうテストは、競争以外の性格はありません。2つは、公表の仕方です。あくまでも、学校や教員が、教育活動の改善をおこなうためにしか、公表はされません。個々の学校や生徒の競争を促進するような公表のされ方はされていないのです。
そんなことは、文部科学省のHPを見れば、すぐにわかります。全国的な学力調査の実施方法等に関する専門家検討会議には、事務方のつくった「諸外国における学力調査について」という資料が出されています。そこでも、フィンランドのテストについては、
5.フィンランド
<対象学年・児童生徒>
・ 対象学年は、第9学年(義務教育は7歳から16歳までの9年間)
・ 抽出(全国から5パーセント~10パーセント)
<結果の取扱い>
・ 出版や報告などの形で、学校や個人が特定できないよう配慮して公表
・ 学校や教員に対しては結果が通知されるが、子どもやその保護者に対するフィードバックは行われない
と書かれているのです。そんな点をかくして議論する辛坊氏がジャーナリストとなのるのもどうかと思いますが、起用するテレビ局にもあきれます。
5.フィンランド
○ 1994年以降、教育課程の基準の大綱化などにあわせて教育活動に対する評価活動が重視されるようになり、評価における指標のひとつとして児童生徒の学力状況を把握する観点から全国規模の学力調査を実施
<対象学年・児童生徒>
・ 対象学年は、第9学年(義務教育は7歳から16歳までの9年間)
・ 抽出(全国から5パーセント~10パーセント)
<対象教科>
・ 国語、数学
<問題内容>
・ 広義での学び方を学ぶ技能の開発、学ぶ意欲、幅広いコミュニケーション技能の育成を評価する問題
・ 必要に応じて、特定教科に関する評価や科目横断的な評価の問題
<結果の取扱い>
・ 出版や報告などの形で、学校や個人が特定できないよう配慮して公表
・ 学校や教員に対しては結果が通知されるが、子どもやその保護者に対するフィードバックは行われない
<実施方法>
・ 国家教育委員会が、調査の実施、結果の分析と公表を行う
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