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2007/02/07

格差と貧困への感度

 ネットでいろいろ資料をあさっていると、2月1日に政府の「成長力底上げ戦略」なる資料に行き着いた。いわく「いわゆる『格差問題』や『ワーキングプア』の問題に正面から取り組む」方針だそうだ。「機会に恵まれず、このままでは「格差固定化」の懸念がある人や企業等に対象を絞った戦略を展開する」という。現在の状況は、たとえば職業能力の形成の問題では、機会がない→能力・知識が形成できない→安定した職業につけない・キャリアアップができない→機会がないの悪循環だというのだ。そして、「職業能力を身につける機会が付与」されれば解決するという。
 こうした議論がリアリティをもたないのは、現代の格差・貧困の実相をよくつかんでいないことにある。機会を付与される以前に、絶対的な格差・貧困が存在し、そうした機会にふれる条件が存在しないというということにある。このことは福祉と雇用という項目をみるといっそうよくわかり。ここでは、公的扶助を受給している→就労への移行をはかれない→経済的自立ができない→公的扶助を受給しているというサイクルがあり、公的扶助と就労プログラムが連携すれば解決するという。が、就労プログラムにつけないような公的扶助の水準にあることには目を向けない。

 以前、『18歳の今を生きる』という本を紹介したことがある。 首都大学東京の乾先生たちの調査だが、卒業1年目の調査から、現在3年目の調査のまとめがすすめられているそうだ。去年から今年にかけて、何回か、その調査についての話を聞く機会があったが、若者たちが、社会に出る際に、すでに絶対的とも言える経済的な格差が存在し、そのことが貧困の拡大再生産の様相をしめしている。
 先日、格差の問題について、「むろん現状を報告することにも意味があります。しかし、人間はくりかえし『現実』を見せられると、その『現実』を所与のもの、つまり変えようのないものとして受容してしまうのです」という、内橋さんの言葉を紹介したが、より正確に言うと、こうしたことが起こるのは、現在の貧困・格差の実態について、正確な認識が欠けていることから起こるとも言えると思う。ワーキングプア、ネットカフェ難民なども、格差と貧困に対する感度がいま問われいるのだと、反省する。
 事態を正確に理解するうえでも、これまでの貧困研究について、十分関心をはらったり、学んでこなかった自分がいる。ちょっと情けないなあと思う今日、このごろである。

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