18歳の今を生きぬく 高卒1年目の選択
都立大(首都大)の乾先生たちのグループの手による調査をもとにした本。最近の若者論のなかでは、出色の一冊だと思う。
おじさんの感想より、僕より若い紙屋研究所さんの感想をまず紹介しよう。
http://www1.odn.ne.jp/kamiya-ta/18sai.html
さて、私の感想だが、高校の卒業の前と、卒業後1年の時点でのていねいな聞き取りによって、若者の姿を点ではなく、その模索のなかでとらえることに成功している。都内の2つの高校の100人ほどの調査だが、東京都にすむある層の若者の姿を立体的にとらえることに成功している。若ものたちが、どのように働かされ、どのようにいためつけられているのか。進路をめぐって、どのような生きづらさを背負い、そして格差を抱え込んでいるのか。そして、そのなかで、必死で、生き抜くネットワークをつくっている…。ただ、偽装や不安定雇用にとどまらない若者の困難がそこにある。
そして地方との格差が広がるなかで、では、地方の若者はどうなっているのかと、想像がつく…。
職業意識や能力と若者の意識に問題の根源を考える傾向がいまだ強いなかで、まず若者の声を聞き、若者を理解することの大切さを教えてくれる。私も、そんな視点で若者のことを考えたい。
イマドキの若い奴は…と言う前に、この現実を知ってほしい。
大都市東京で、悩み迷いながら懸命に生きる若者たち。
その等身大の姿を2年間にわたる聴き取りから描く。
第1章 格差社会・やりたいことと自己責任―若者たちが歩み出す社会の現在
第2章 東京の若者たちの“学校から仕事へ”
第3章 「働くこと」を生きぬく
第4章 「やりたいこと」と働きつづけること
第5章 若者たちのもつ経済・文化資本と「新しい不平等」
第6章 進路をめぐる親子間葛藤
第7章 家族をつくる
第8章 思わぬワンランクアップとしての大学進学
第9章 専門学校に進学する若者たち
第10章 「地元」で生きる若者たち
第11章 「高卒一年目」の若者たちが直面していること―まとめにかえて
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