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2007年1月

2007/01/31

邦画の未来は?

 ちょっとしたニュースだ。

邦画の興行収入が洋画上回る 21年ぶりに過去最高千億円 (共同通信)
 日本映画製作者連盟は30日、06年の全国映画概況を発表。邦画の興行収入は過去最高の約1077億5000万円で、洋画の約948億円を上回った。興行収入全体に占める邦画と洋画のシェアが逆転するのは85年以来21年ぶり。邦画はアニメ「ゲド戦記」が76億5000万円、「LIMIT OF LOVE 海猿」が71億円の興収を上げるなど50億円を超える大ヒット作が6本に上った。

 ただ、上位にのぼっている作品は、それほどいいできばえではない(決して、悪い作品とも思わないけれど)。「ゲド戦記」はジブリの作品にしてはワクワクドキドキにかけるし、海猿は、現実の世界と乖離した物語になってしまっている。そこでの感動は薄っぺらいものにならざるをえない感じ。
 一方、小作品にいいものが多かったのは事実。たとえば「花よりもなお」だとか、「かもめ食堂」などは面白かった。「早咲きの花」も話題。まじめにつくられた作品が増えていることは、希望。
 本格的に、時代と向き合った作品。そんなものを望むのは贅沢だろうか。一方で、今年は石原慎太郎の作品なども登場する。邦画の未来は、曲がり角にある。

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氷の判決 中国「残留孤児」関東訴訟の不当判決

 中国「残留孤児」国家賠償関東訴訟について,東京地方裁判所民事第28部は,30日、原告らの請求を全面的に棄却する判決を言い渡した。判決は,「早期帰国実現義務」,「自立支援義務」そのものを認めず,全面的に請求を棄却する極めて不当なもの。昨日、ニュースを聞いて、あまりにもの判決に耳を疑った。「原告ら中国「残留孤児」の被害の実態から目を背け,日本人としての,人間としての尊厳の回復を求める原告らの思いを退けた」。いったい、日本の司法制度はどうなってしまったのだろうか。誰かが「氷の判決」と言っていたがまったくそのとおりだと思う。

 安倍首相は、国としての中国「残留孤児」に対する「きめ細かな支援」を表明したものの、実際には、そのスピードも、内容もきわめてあいまいで、求められているものではない。何よりも、そこには、棄民に対する謝罪はない。
 今日、ある歴史研究者の方と話をしていたとき、日本の戦後補償の裁判で壁になっている1つに受忍論があるが、この受忍論というのは、戦時中、日本軍が当時の国際法をふみじにった戦争の進め方をしたことの裏返しといっていた。国家としての日本は、この戦争を正面から反省していないのだ。

 なお弁護団の声明と、判決の要旨は、Continue readingで

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2007/01/30

ニッポンの教師と学校

Photo_5 『週刊東洋経済』という雑誌の先週号で、「ニッポンの教師と学校  全解明」という特集をおこなっていました。
 図解 ひと目でわかるニッポンの教師と学校で、日本のとくに教師たちが賃金や労働条件、そしてどういう教育制度のもとで働かされているかをかなりていねいに紹介します。
 教師編では、まず「急増する学校への“イチャモン”、その裏にある親のホンネとは」です。最近、話題の大阪大学の小野田正利.先生も登場です(『悲鳴をあげる学校 親の“イチャモン”から“結びあい”へ』の著者)。そして、「増え続ける“臨時教員” 学校現場も『ワーキングプア』」=これは、生活保護をうける教師の実態です。
 新自由主義的な教育政策の展開のなかで、日本の学校と教師の困難もここまできたのかと驚かされます。
 以下、目次は、Continue readingで

 近ごろの格差、貧困に関するものでもそうですが、さすがに大出版社だけあって、つくるものは読みごたえがあります。そのことをふまえたうえで、昨年、内橋克人さんが出された本のなかで書かれている言葉が、頭をよぎります。
 「二〇〇六年に入って、新聞やテレビなどの各マスコミや書籍などで、『格差社会』の現状について、さまざまな報道がなされるようになりました。しかし、そのほとんどの報道、書籍が現状を報道するだけのものです」と言ったうえで、「むろん現状を報告することにも意味があります。しかし、人間はくりかえし『現実』を見せられると、その『現実』を所与のもの、つまり変えようのないものとして受容してしまうのです」と言うのです。
 私たちも、現状を知る、伝えるとともに、どこに解決の道があるのかを、いっしょに考えていきたいものですね。

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「聖断」虚構と昭和天皇

027364690000 軍事史が専門の纐纈厚さんの新著。 首相の靖国参拝を契機に、マスメディアでも戦争責任についての議論が活発です。しかし、そこで十分に語られないのが、天皇の戦争責任の問題です。「昭和天皇は『平和主義者』」という虚像は国民の間に深く根をはり、国民の戦争責任意識を深化を妨げる要因になっています。
 実際の天皇は、悪化する一方の戦局のもと、国民の犠牲をかえりみず、東條首相を押し立て「もう一度成果を挙げてから」と戦争継続に固執しました。こうしたなかで「終戦」に向けて、始まった東條内閣打倒工作。本書は、軍部と宮中・重臣グループの息詰まる暗闘のなかで、「聖断」虚構が準備されていったことを克明に描きます。戦後もひきつがれた「聖断神話」の虚妄をあますところなく明らかにしています。
 ミステリーを読んでいるようで、あっという間に読むことができます。

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2007/01/29

「NHKが番組改変」 200万円賠償命じる 東京高裁

 注目される裁判の判決が出ました。日本軍「慰安婦」問題の責任を裁いた、「女性国際戦犯法廷」を扱った番組の改編問題への判決です。政治との関係が問われた裁判です。

「NHKが番組改変」 200万円賠償命じる 東京高裁(朝日新聞)  NHKの番組が放送直前に改変されたとして、取材を受けた市民団体がNHKなどに総額4000万円の賠償を求めた訴訟の控訴審判決が29日、東京高裁であった。南敏文裁判長は「制作に携わる者の方針を離れて、国会議員などの発言を必要以上に重く受け止め、その意図を忖度(そんたく)し、当たり障りのないよう番組を改変した」と指摘。「憲法で保障された編集の権限を乱用または逸脱した」と述べ、NHKに200万円の支払いを命じた。NHK側は同日、上告した。…  …訴えていたのは「『戦争と女性への暴力』日本ネットワーク」(バウネットジャパン)。旧日本軍の性暴力を民間人が裁く「女性国際戦犯法廷」を00年12月に共催した。NHK教育テレビで01年1月30日に放送された「ETV2001 問われる戦時性暴力」が「法廷」を取り上げた。  …判決は、01年1月26日に松尾武・放送総局長と野島直樹・総合企画室担当局長が立ち会った試写後の内容変更について、「当初の趣旨とそぐわない意図からなされた編集行為で、原告の期待と信頼を侵害した」と違法性を認めた。  また、放送直前の同月29日に松尾氏らと面会した安倍晋三官房副長官(当時)が「公正・中立の立場で報道すべきではないか」と発言したことなどを受け、「その意図を忖度して指示、修正が繰り返された」とした。

 「ただ、政治家が直接に指示や介入したとの原告側の主張については、『政治家が一般論として述べた以上に本件番組に関して具体的な話や示唆をしたことまでは、認めるに足りる証拠はない』とした」わけですが、NHKが説明に対する政治家の発言をうけて、番組を改編したことを断罪した点は、画期的だと言えます。
 論争になった、期待権についての、専門家の見解が朝日で紹介されています。
表現の自由への危うさはらむ「期待権」 NHK訴訟判決(朝日)
 ただ、権力から、報道の自主性をどう守るのかということが問われたわけですから、そういう視点から、この問題を読み解かないとという感じがします。
 判決要旨は、Continue readingで。

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ネットカフェ難民 漂流する貧困者たち

20070128 深夜に放映されたNNNドキュメント07の「ネットカフェ難民 漂流する貧困者たち」を、眠い目をこすりながら、みた。新聞や雑誌でのルポは読んだりはしていたが、映像をとおした、その告発は、切なく、つらく、悲しかった。
 何らかの事情で、家族から離れ、仕事を奪われた若者たちは、携帯を頼りに日雇い派遣に登録し、その人賃金で、ネットカフェに暮らす。専用の格安コインロッカーに荷物をつめ、仕事に向かう。登場した若者たちは、あるものは、母子家庭で、家に仕送りをおこなうために都会で仕事についた…。そして、あるものは、虐待から逃れるために、家を出て働いていた。そこに襲う、下流ビジネスという悪魔。最初からの埋めようのない格差のなかで、「これ以上落ちてはいけない」と、必死で生きる若者たちの姿には、胸がつまる。これが、若者の労働力を、使い捨てする社会の行き着く先か。本当に、強い怒りを感じた。以下は番組紹介。

 社会のあちこちで目に付く格差の広がり。生活困窮者を支援するNPOや生活保護ケースワーカーの間で最近話題になっているのが“現住所・ネットカフェ”という若者たちだ。「完全個室・宿泊可」と書かれたネットカフェ。東京だけでなく、大阪、仙台、札幌、北九州などにも孤独な宿泊者は存在する。ネットカフェといってもリクライニングシートがついた優雅なものではない。狭い部屋で堅いイスにひと晩中座ったまま何ヶ月も眠る。バイトを転々として食いつなぎ、健康や将来の不安を抱えながら希望が見つからない若者たち。その実態を追う。

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2007/01/28

すっかりごぶさたしました。

 2週間、ブログの書き込みを”さぼり”ました。本当に、久しぶりですね。最初は、熱を出して寝込んで…。親父の具合が悪く、関西のほうに急遽帰ったりもしていました。その後、仕事も忙しく、書き込みをついついさぼってしまった次第です。
 もともと、しっかり考えて書き込みをしたほうがいいのかなあ、なんて悩みもあったのですが。
 まあ、この2週間の間にも、映画を見たり、読んだ本の感想などもあります。まあ、ぼちぼち、書き込みを再開していこうと思います。
 これからも、よろしくお願いします。

2007/01/13

経団連の優先政策事項

 GAKUさんがブログに、

法人税を引き下げてくれたら献金します…これって買収じゃん
日本経団連が、「2007年の政党の政策評価の尺度」となる「優先政策事項」を発表。

 と書いています。そこで、私も、その優先政策事項についての感想を書いておきたいと思います。
 優先政策事項そのものは、http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2007/001.htmlにあります。
Continue readingで紹介しておきました。

 項目そのものは、これまでの優先政策事項と大きく変化があるわけではりません。

4. 科学技術創造立国の実現に向けた政策の推進→4. 日本型成長モデル実現に向けたイノベーション
の推進
6. 心豊かで個性ある人材を育成する教育改革の推進→6. 公徳心を持ち心豊かで個性ある人材を育成する教育改革の推進
8. 地方の自立と地域や都市に活力とゆとり、安全と安心を生み出すための環境整備→8. 道州制の導入の推進と魅力ある経済圏の確立
10. 内外の情勢変化に対応した戦略的な外交・安全保障政策の推進→10. 新憲法の制定に向けた環境整備と戦略的な外交・安全保障政策の推進

 この4項目が文面では変化しています。ここで、注目するのは、やはり第10項目という他ありません。この項目は明らかに財界のうえでも、大きな変化があると言っていいのではないでしょうか。
 政権への財界の要求の基本は、新自由主義的な改革です。しかし、安倍政権の支持基盤を考えたとき、保守主義を内包しているという新自由主義路の分かちがたい矛盾があります。一方での、アメリカの要求というものを考えたとき、妙に、憲法改悪がクローズアップされてくるのです。構造改革や規制緩和の推進に対抗しながら、同時に、改憲の動きは、民主党の動きともあわせ、警戒が必要だと強く感じさせる内容でしょう。

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「平和憲法・共同の候補の擁立」への疑問

 「平和憲法・共同の候補の擁立」の運動は、これまでもさまざまな議論がなされてきました。私は、個人的には、この運動をになっている人の”うさんくささ”をふくめ、共同の進め方やあり様には疑問をもっていました。今度、東京での候補者の擁立をふくめ、だんだんと疑問の声が広がっているようです。
 これまで、この運動の呼びかけ人でもあった、五十嵐仁さんが、現在の事態に疑問をHPで表明しています。
 五十嵐さんだけではなく、何人かの人から、同じ様な疑問を聞いています。
 あらたえて、平和と、統一のあり方を基本にたち返るべきようですね。

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2007/01/12

脱「格差社会への戦略」

027380550000 神野さんの本だし読んでおこうかなどと、悩みながら読み始めた。『世界』で掲載されたときに、読み切れなかったものも少なくなかったので、正直、はまってしまった。経済にはあまり強くない私にとって、税制のあり方の議論や、社会保障、社会福祉の議論のあり方でも、知らないこともそれなりあって、また、議論の仕方そのものでも、勉強になったことも少なくなかった。

 格差社会論の問題をどのように捉え、考えたらよいのか。税制は格差を助長していないか。雇用、社会保障、教育の現場で何が起きていて、どうすればよいのか。各界の第一人者16人による討論および論考。

 松竹さんは、自身のHPで、この本への不満と、良かったところを書いている。不満は、どういう目標を提示するのかという点での目標が国民の心をとらえるのかという点、良かったところは、貧困に落とされた若ものたちがなぜ市場経済万能論に傾くのかなどの分析の方法論。私は、個々の執筆者のによっては、のべられている論点で、すごくひかれたものも少なくなかった。同時に、この格差や貧困の問題を論じるとき、たんにその告発にとどまるのではなく、貧困をつくりだす構造などをていねいに分析することの大事さ。国民的な議論や、その対応へのコンセンサスというのは、案外むずかしい。松竹さんのいう分析ということにつながるんだと思うけれど、新自由主義や規制緩和を主張する人の議論は、薄っぺらいけど、なかなか反論しづらさみたいなかかえているように思えてならない。その結果、反論は十分効果的におこなえているとは思えない。この点での言葉をどう紡いでいくのかが、とてもとても大切な課題だと思うのです。
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2007/01/11

F22A配備問題

 沖縄のF22A配備問題というのをご存じだろうか? 今日の沖縄タイムズが社説でとりあげている。

[F22A配備]負担軽減は名ばかりか
 米空軍の最新鋭ステルス戦闘機F22Aラプターが二月上旬から数カ月間、嘉手納基地に配備される。 F22AはF15戦闘機などの後継として開発された最新鋭機で、二〇〇五年に米バージニア州のラングレー基地に実戦配備された。沖縄に配備されれば米本国外での運用は初めてとなる。 F22Aは十二機配備され、要員二百五十人が駐留する予定だ。……しかし、F22Aが嘉手納基地に配備されることになれば、F15戦闘機訓練の一部本土移転による負担軽減は名ばかりで、F22A配備によって軽減分が帳消しされ、振り出しに戻るようなものではないか。…

 こんな話は、どれだけの人に知らされているでしょうか?
 結局は強化される、沖縄の基地。重大な問題です。

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拝啓、父上様

 今日は、午後から取材があって、夜は人に会いに国立に、それからラーメンを食べて、家に。10時すぎに帰宅して、テレビの「拝啓、父上様」を見た。さすがに倉本聰、初回はものすごく引きつけられる(これは年齢のせいだろうか?)。二宮くんは絶好調だね。
 前回の、優しい時間が、後半がもう一つだったので、はたしで、今度はどうだろうか。

 舞台は、古き良き日本の伝統が残る花柳界・神楽坂。江戸情緒が今なお残るこの街の老舗料亭「坂下」の土地売却、時代の流れに飲み込まれていく裏路地の変貌をめぐって物語は展開します。活気溢れる商店街や料亭の板場で巻き起こる、日常の悲哀、失われつつある徒弟制度を主人公である板前・一平の目を通して描いていきます。また、一平の父親探しもドラマの根底に流れます。

 この神楽坂は、私の仕事場の1つでもある。印刷所の多い地域でもある。もうこの地域に、20年近く巣くっていることになるのかあ。もちろん、番組で出てくるような料亭などには一度もいったことはないが(笑い)。でも、結構、好きな街でもある。さて、どんな展開をするのか?

 イラクの新政策については後日にね。
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安倍政権発足とメディア

 なぜ、メディアは、私たちの運動を報道しないのか――そんな疑問が多くの人からよせられます。いったいメディアと政治との関係はどうなっているのか、そんな疑問にこたえる材料を与えてくれるホームページがあります。マスコミ関係の労働組合やジャーナリスト会議などがつくっている憲法メディアフォーラムというサイトです。
 ここに今回、匿名記者座談会「安倍政権発足とメディア」というものがアップされています。 大手新聞社整理部デスク、NHK報道局記者、在京キー局政治部デスクと丸山重威さん(関東学院大学教授・日本ジャーナリスト会議運営委員)、岩崎貞明(『放送レポート』編集長)による座談会です。

丸山
 安倍政権発足から3カ月経ちました。今までを振り返って、新年を展望しながら語って頂きたいと思います。
民放
 正直、つまずいちゃっていますね。「小泉改革を引き継ぐ」というところを出して、そこに北朝鮮の核実験が追い風になって、そこそこいい“スタートダッシュ”だったのですが、国会が進んでいくと、ボロが出てきた。安倍さんの仲良し人脈だけで政権を運営していることが招いていると思います。
 そこで小泉さん以来の懸案であった道路特定財源の問題で支持率の低下を跳ね返そうと狙ってみたのでしょう。しかし、安倍さんや彼の取り巻きの悪いところは、最初に強く出るんだけど、現実を見ていないから、最終的には反対派に呑まれて、玉虫色の決定に落ち着いてしまうことです。小泉さんの喧嘩上手さとはまったく逆で、喧嘩ベタなところが出てしまった。
大手紙
 「そういう安倍政権をメディアはどう取り上げたのか」ということを今、考えています。やはり突っ込みが甘い。最近、久間(章生)防衛庁長官が、とんでもない発言をしました。日本のイラク戦争支持について「あれは小泉さんが個人的な意見をマスコミの前で言ったんだ」と言ったことです。イラク戦争支持が閣議決定されているという事実は知らなかったと後で釈明しましたが、本来なら長官更迭ものですよ。
 安倍首相は総裁選の頃から改憲問題の明確な見通しを言わなくなった。ところが海外メディアに対しては「5年以内、自分の任期中には是非やりたい」と、かなり突っ込んだ見解を表明している。あの発言に対して、日本のメディアは客観報道で、「安倍首相が欧米メディアの前でこういうことを喋った」と伝えただけです。「客観」ということに縛られて、事の本質を描き出したり、追求することが甘くなっていると感じます。……

 
 メディアと為政者の奇妙な一体感といったものが形成されています。それがなぜか、そんなことを考えるうえでも、必見のサイトですよ。

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2007/01/10

防衛省発足

 昨日(9日)、防衛省が発足した。すでに、ホームページを新しくなっている。
 http://www.mod.go.jp/
 何よりも、これを契機に、自衛隊の海外派兵が本来任務とされ、アメリカ軍と一体となった海外展開がすすむ。しかも、いよいよ、集団的自衛権の行使へとの道にすすむことが懸念される。安倍首相自身が、式典で、その検討をあらためて表明している。安全保障法や恒久派遣法を策定がすすめられそうな気配だ。
 私が、もう1つ懸念するのが、これまで、戦後、戦前の反省からつくられた、文民統制と呼ばれるような仕組みが、1つひとつはずされようとしていることだ。軍事には軍事の論理があって、軍事にたずさわる人は軍事でものごとを解決しようとしがちだ。それをふさぐために、シビリアン・コントロールという軍事にたずさわらない人が、軍事部門を統制する仕組みが、憲法でもつくられたわけだ。それだけではなく、戦後の自衛隊の体系は、たとえば参事官制度に代表されるように、防衛庁内部でも、軍事にたずさわらない事務方が制服をコントロールし、制服が直接、政治家と一体にならないような仕組みがつくられていた。それが骨抜きにされようとしている。今日の朝日新聞には、次のような記事ものっていた。
防衛参事官制度見直しを検討 久間防衛相が表明(内容は、Continue reading で)。

 防衛省をめぐる問題について、五十嵐仁さんがHPで2日にわたって論じている。ぜひ読んでほしい。

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安倍政権論

31823301 年末に発売されている『ポリティーク12』に渡辺治さんが、「安倍政権論――『戦後体制』の打破をめざす政権」という論文をのせている。安倍政権に課せられた課題を、小泉政権の到達点と限界をふまえ、明らかにしている。それが1つが、軍事大国の完成と改憲に、もう1つが構造改革の推進と破綻した社会統合の弥縫にあること、その特徴にある安倍氏の政治思想を概観し、安倍政権の担い手と支持基盤、政権の矛盾を明らかにしている。
 いろいろお世話になっている先生だけど、この人の生産量には頭が下がる。そして、自らのことを省みないほどの、社会変革の運動への知的貢献という点でも。先生の論点には、個人的には異論もあるけど、豊富な知識に支えられた議論、そして鋭い着眼点は、学ぶところは多い。
 今度の、論文も、”なるほど”と学ぶところも多く、個人的にも、頭がずいぶん整理された思い。90年代以降の改憲過程の整理は、これまでのものをふまえたものだけれど、その2つの課題を安倍氏にたくすにいたった、安倍氏に自身の政治思想の特徴の指摘は、言われてみればあたりまえでもあるんだけど、なるほどと納得がいく。安倍氏のナショナリズムの、中曽根氏などにくらべてのあまりにもの薄っぺらさ。そうであるがゆえに新自由主義とむすびつく。そして、氏のかかげる新保守主義と新自由主義という相容れない思想潮流の、(支持基盤としても)奇妙な同居。それであるがゆえに、きわめて脆弱な政権基盤…。しかし、それは、自民党政治、保守政治自身のゆきづまりの、歪んだ反映でもあるのだと思う(靖国問題などの小泉政権とはちがう形での)。そうであるがゆえに、改憲への動機は強まるのかもしれない。なお、『現代思想』の1月号で先生は「戦後保守政治の中の安倍政権  『軍事大国』派の系譜」という論文をよせている。戦後史のなかで、今度の安倍政権論を位置づけたような論文で、ポリティークの論文の姉妹編ともなっている。
 永田町では、あいつぐスキャンダル。一方で、ホワイトエクゼンプションの導入先送り?の報道に見られるような、党の官邸に対する巻き返し? 政治の世界では、これから選挙に向けて、さまざまに揺れながら、いろんなことがおこりそうだ。そういったことを繕いながら、脆弱な基盤のうえに、いろいろな舵取りがされるのだろう。
 憲法をふくめ、力づよい国のあり方の転換の声こそが、求められているのだと思った。

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2007/01/09

雇用破壊――もう安住の職場はどこにもない

H20070113 なかなかエントリーができません。まだ生活のリズムを取り戻せないでしょうか。ちょっと、気分の問題もあります。あまり、無理はできません。コメントへのお返事も滞っていて申し訳ありません。もう少しお待ち下さい!
 さて、今日は、電車の中吊りで、東洋経済の広告を見て、さっそく買ってみました。題して「雇用破壊――もう安住の職場はどこにもない」。ざっと見ただけですが、なかなか力の入った特集です。非正規を拡大する雇用破壊の進行と、その一方で、ホワイト・エクゼンプションによる際限ない長時間労働という、いますすめられようとしている労働法制改悪の本質をそれなり鋭く告発しています。
 一方で、奥谷礼子氏や八代尚宏氏など推進側の論客を登場させて持論を展開させています。その反論がか細いのが少し不満です。その結果、どうこれを阻止するのか? たたかいの姿が見えません。やはり、そこがこうしたメディアの限界でもあるのでしょうか。今年の国会は「雇用国会」というそうです。さらなる貧困と日本経済の衰退をもたらす愚行にたいして、どう国民的な運動をつくっていくのか。大きな課題でもあります。
 東洋経済の特集の目次は、本文(続き)で

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2007/01/06

18歳の今を生きぬく 高卒1年目の選択

4250206122 都立大(首都大)の乾先生たちのグループの手による調査をもとにした本。最近の若者論のなかでは、出色の一冊だと思う。
 おじさんの感想より、僕より若い紙屋研究所さんの感想をまず紹介しよう。
 http://www1.odn.ne.jp/kamiya-ta/18sai.html


 さて、私の感想だが、高校の卒業の前と、卒業後1年の時点でのていねいな聞き取りによって、若者の姿を点ではなく、その模索のなかでとらえることに成功している。都内の2つの高校の100人ほどの調査だが、東京都にすむある層の若者の姿を立体的にとらえることに成功している。若ものたちが、どのように働かされ、どのようにいためつけられているのか。進路をめぐって、どのような生きづらさを背負い、そして格差を抱え込んでいるのか。そして、そのなかで、必死で、生き抜くネットワークをつくっている…。ただ、偽装や不安定雇用にとどまらない若者の困難がそこにある。
 そして地方との格差が広がるなかで、では、地方の若者はどうなっているのかと、想像がつく…。

 職業意識や能力と若者の意識に問題の根源を考える傾向がいまだ強いなかで、まず若者の声を聞き、若者を理解することの大切さを教えてくれる。私も、そんな視点で若者のことを考えたい。

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新年の新聞を読んで

 新年に入って、少しブログの書き込みをさぼりました。新年早々疲れているのでしょうか? 新聞を読んでいても、たとえば社説のテーマは多岐にわたります。その一つひとつを丁寧に読むのには時間もかかります。読みたい本や読まなければならない本もたくさんあって、それを読みこなせずにうろたえているのが実際です。どうも仕事の仕方を考えないと、こなせないと思い悩んでいるのです。
 つれ合いの仕事の都合で、家事の分担もふえていますから、時間もあまり自由になりません。しかし、一方で、精神的な疲れもあり、ぼーっとしたかったりするのです。どうも空回りの毎日ですね。
 さて、新年の新聞を読んでの感想です。年明けからいろいろなことがおこっています。何より特徴は、安倍首相が、憲法「改正」をあらためて、高く掲げたことでしょうか。年頭の会見で印象的だったのは、教育再生を強調したことともに憲法「改正」です。

 今年は、憲法が施行されてから60年であります。新しい時代にふさわしい憲法をつくっていくという意思を、今こそ明確にしていかなければならないと思います。自由民主党の草案は既にできているわけでありまして、与党・各党との協議を進めていってもらいたいと考えております。
 まずは手続法案であります。日本国憲法の改正手続に関する法律案について、与党内、また与野党で議論を深め、今年の通常国会に提出できることを期待したい。与野党でそのために議論が深まっていくことを期待したいと思います。
 また、先ほど申し上げましたように、今年は憲法が施行されて60年であります。憲法を、是非私の内閣として改正を目指していきたいということは、当然参議院の選挙においても訴えてまいりたいと考えております。

 私の、守備範囲の分野なので、しっかりがんばらなければなりません。
 そうしたなかでの新年の新聞ですが、社説などを読んでいても、日本もメディアも、大きな岐路にさしかかっているという印象を強くもちます。タイトルは、もう1つのブログにあります。そこで見ていただくとして、特徴は次のように感じます。

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2007/01/04

仕事はじめ

 今日は、朝から、仕事はじめ。会議だとかいろいろ。早めに家に帰って、たまった家事をこなす。主夫?はつらい? つれ合いは、まだ北陸。子どもたちは、同窓会だとかでいない。ぼーっと、星野道夫の番組を見る。アラスカの自然に星野の人生を追う。自分がとてつもなく、小さく見える。”何やッテンだ、俺は”。……

2007/01/03

帰ってきました

20070104002756 慌ただしい関西→北陸の帰省の旅から帰ってきました。北陸は一泊です。疲れます。2日の朝に関西を出て、サンダーバードで北陸に。駅で家族が待っていて、買い物、ボウリング!?、それからつれ合いの実家で宴会です。そして、今朝、長男の車で帰ってきました。長男は1人で、よく運転していました。すっかりアッシーですね。ごくろうさまでした。明日から仕事です!
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2007/01/01

硫黄島からの手紙

20061101002fl00002viewrsz150x いやあ、よかったです。久しぶりの映画館での映画。みごとなぐらい価値のある映画でした。
 物語は、ご存知のとおり、硫黄島を守備した栗林中将とパンやだった兵士を軸に、陥落までの数日間を描く。サイパンと日本の中間点。航空攻撃の中間基地としてあらそわれた硫黄島。絶対的な軍事力の差に、少しでも抗戦を指揮する栗林。実際の人物より美化されているという指摘もあるが、それなりに抑制の効いた描き方にはなっている。しかもアメリカ人の手によるだけに、安易にナショナリズムにむすびつかない描き方にはなっている。
 映画そのものは、攻める側も守る側も、戦争することのおろかさをただただ描ききる。それがクリントイーストウッドの到達した思想であり、そこにまた私たちは共感する。なぜ、これが日本人の手で作れなかったのかは、誰もが思う気持ちだが、きっとこの映画は、日本の映画を変えるかもしれない。そんな思いももった映画だった。
 「戦争してはいけない」。パンフレットに二宮くんはそう書いている。ほんとによかったです。
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電通の正体

027124170000 帰省の電車のなかで読みました。BK1の紹介には「広告代理店のトップを走る株式会社・電通のタテマエ抜きの会社案内。電通のさまざまな姿を、徹底した現場取材にもとづいて解剖する。佐高信と大下英治の対談も収録。電通を知れば、広告業界&現代がわかる! 」とあります。なるほど、メディアを支配する、そして世論を操作するガリバー、電通の姿がよくわかります。そして、その背後には巨大企業があることも。たとえばトヨタ? しかし、彼らも、展開するグローバル化のなかで、先の展望もない岐路にたたされているのでしょうか。
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新聞の元旦社説

 あけましておめでとうございます。今年も、このブログをごひいきにお願いします。
 新年ですから、私も多少は、抱負なり決意をもちます。昨年は忙しくもよく働いたなあというのが、率直な感想ですが、働いた割には充実感が薄いというか、ただ忙しいだけで、何事も中途半端だったと思っています。もう少し、ふみこんで物事を考え、書き、語りたいなあというのが決意です。そのためにほ、どうも昨年の後半は、気持ちも体も不安定な状態にあったので、今年は、そのコントロールに努めたいと思います。

 さて、年の最初は、新聞の社説からです。

【朝日】戦後ニッポンを侮るな 憲法60年の年明けに
【読売】「タブーなき安全保障論議を 集団的自衛権『行使』を決断せよ」
【毎日】「世界一」を増やそう 挑戦に必要な暮らしの安全
【日経】開放なくして成長なし(1) 懐深く志高いグローバル国家に
【産経】凜とした日本人忘れまい 家族の絆の大切さ再認識を
【東京】年のはじめに考える 新しい人間中心主義
【北海道】何を変え 何を守るか*1*「国とは」を問い直すとき
【中国】自立する地方へ もっと「分権」、住民の「自治」を
【沖縄】[新年を迎えて]「共生」を見つめ直そう

 これが今年の新聞の元旦社説です。新聞の元旦社説は、かつては(いまでもそうかもしれません)、その新聞の責任者の手によるものといわれ、その新聞の年間の論調を占うものといえるものだと言われてきました。今年の新聞の論調はどんなところに特徴があるのか。そこで去年のものと比べてみましょう。
 去年の元旦社説は
【朝日】武士道をどう生かす 2006謹賀新年
【読売】「人口減少時代へ国家的対応を 市場原理主義への歯止めも必要だ」
【毎日】ポストXの06年 壮大な破壊後の展望が大事
【日経】人口減に克つ(1)成長力を高め魅力ある日本を創ろう
【産経】主張新たに始まる未知の世界 アジア戦略の根幹は日米同盟
【東京】年のはじめに考える 日本の出番なのに…
【北海道】変化の時代の道しるべ*1*「包容社会」を分権で築く
【中国】みんな「つながり」合おう
【沖縄】[06年を迎えて]正念場の米軍再編問題

 ここ数年、変化球というか、その国の政治などのあり方を正面からというものは少なかったように思えます。ところが、今年は、正面からその問題を問いかけているといえるのではないでしょうか。
 読売は、新国家主義ともいえる立場から、「改革」を唱えます。この社説と、今日発表になった「経団連ビジョン 『希望の国、日本』」とが、どう重なり合っているのかは、興味のあるところですが、御手洗ヴィジョンは長いので、まだ読めていません(印刷できないし)。産経は、保守主義の立場からの社説です。そして、日経は新自由主義の「改革」を主張します。
 一方、去年まで腰の引けていたとも感じられる朝日は、憲法9条を問いかけ、そして、毎日は格差社会を問います。この朝日と毎日の社説は、まだまだ、弱弱しい声かもしれませんが、注目には値する変化ではないでしょうか? 今年を転機の年にしたいし、しなければならない。その予感と決意を感じさせてくる社説だったと思います。
 今年もよろしくお願いします。
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