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2006/12/12

労働ダンピング

4004310385 面白い本だった。ちょっと、時間がかかったのは、法律に立ち入ったのところは、やはり難しい。というか整理の仕方がつかめなくなる。ほんとに不勉強だなあと反省させられる。そういう難しさのある本だけど、不安定雇用の実態、そのもとで、労働条件や賃金がどう、どのようにして切り下げられているのかを、リアルに分かりやすく解き明かしている。労働はものとなり、商品のごとく買いたたかれる仕組みが明らかになる。そして、正社員の成果主義賃金はそのことを加速し、競い合うように、働く現場はダンピングされる。
 なるほどとも思わせるのは、そこに隠された、パート=女性=補助労働=低賃金という差別の構造。それが男性をも包み込む事態がある。法改正で、間接差別が禁止されたことの活用の可能性とともに、やはり、そもそも、差別も働き過ぎもない、人間らしい働き方をどう確立するかは、緊急な課題だ。
 とくかく、事態は日雇い派遣=ワンコール・ワーカーを生み出し、多くの人が非正規のダブル・ジョブ、トリプル・ジョブに向かっている。著者は訴える。

 …グローバル化が必然的なもので、規制緩和しか方法がないとすれば、この傾向はもっと激しくすすんで人間社会の基盤そのものを突き崩してしまうのだろう。
 改革は必要だが、いままでとは違ったやり方があるはずだ。グローバル化と向き合いながら、不合理な格差をもたらす要因を取り除いて、「働きに応じて公正に報われる」「安心して働き、生活できる」社会と労働のシステムを打ち立てなければならない。何をどう改革するかが問われているところで、もう一度現実から出発して、何から挑んでいけるのか課題を探りたい。そして、それは私たち一人ひとりの生き方の問題なのかもしれない。

 一人ひとりの問題なら、われわれはたたかうしかない。たたかうことこそもとめられていると痛感した。

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