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2006/11/01

安倍首相の「村山談話」継承をどう読むか

 安倍首相の歴史認識をどう考えるのか。まずは、彼のこの間の発言のもつ意味について、私なりには、どう受けとめたか。少し整理してみました。

 安倍首相は、国会での代表・総括質問の論戦で、歴史認識として、村山談話および河野談話を引き継ぐ旨の発言をし、その後、中国、韓国にあいついで訪問し、首脳会談をおこなった。(中国では日中共同プレス発表)。この安倍氏の表明をどう見るのか。
 もともと村山談話はどう生まれたのか。90年代初頭における、日本国内での侵略戦争に対する認識の深まりと、アジアにおいての民主主義の発展とあいまった民族主義の広がりのなかで、細川発言から村山談話は、それが「侵略戦争」とは定義しないあいまいさをはらみながらも、政府の歴史認識としては、重要な到達点をなす。それは、保守層の自発性のなかで生まれたものでは決してなかった。これに対し、靖国派を中心に、歴史修正主義勢力による巻き返しである。歴史検討委員会や若手議員の会などを軸とした議論は、「つくる会」の結成と展開、日本会議の活動の広がりへと続き、それをベースに、橋本首相に靖国参拝、そして小泉首相による靖国神社の参拝である。しかし、そのもとでも、小泉首相は、村山談話を踏襲し、また自分の歴史観は靖国神社とは別との表明をした。そのこと自体が、この村山談話がもつ歴史的な意味を表している。
 安倍首相の現在の態度も、従来の安倍氏の主張や靖国派の主張が、国際的にも、国内的にも決して通用しないものであることを証明している。歴史認識の明確化が、現在の戦後国際社会のなかでの、国家のあり方としての原点であり、逆に言えば、一部の論壇や政治家が、この村山談話を攻撃すればするほど、それがいかに異常なことであるのかをうきぼりにする結果となるということを意味している。

 しかし、安倍首相は、靖国派と同じ歴史観をもっているのかという問いに対しては、ここの歴史観については、「後世の歴史家の判断にまつ」としたている。靖国への参拝についても、「明らかにしない」としている。
 この点については、第一に、村山談話の継承を明確にしながらも、靖国史観についての態度を明確にしなかったことは、政権の内部に、少なくない靖国派をかかえ、その政権の政治的、人脈的基盤として、靖国支持勢力を内包しているだけに、今後、おりぬふれ、靖国派の巻き返しとのあいだに、重大な内部矛盾をはらむことになる。靖国派が、その正統性を主張しようとすればするほど、歴史の事実に向き合い、戦争責任についての本格的な議論を巻き起こすという、根本的な矛盾につきあたる。そのなかで、一度、靖国派の巻き返しがおこれば、それは、保守派内部に深刻な矛盾をつきつけることになる。(読売の文脈はここで読むのか一番重要だと思う)
 第二に、北朝鮮問題など、一定ナショナリズムを喚起するような社会的状況のなかで、反中反韓意識の高揚も見られるが、長いスパンで国民の意識を見たとき、侵略戦争と植民地支配の責任の明確化という方向にあることは明らか。アジアとの国民レベルの交流のなかで、その点は大局的には、いっそう顕著にならざるをえない。この国民意識との関係でも、現在の安倍首相の態度は、きわめて、緊張感をはらまざるを得ないものと考える
 第三に、海外、とくにアジアとの関係でも、今後矛盾は拡大せざるをえない。①国家レベルを見ても、靖国参拝問題が、いつでもふたたび外交問題に発展しかねない不安定なものであると同時に、来年が日中戦争六〇年、南京虐殺六〇年などの節目のとしにあたるさい、個々の歴史事実についても必ず、その問題への態度が問われることになる。②とりわけ、日本がアメリカと一体となった、軍事大国化の道をすすむことへの一定の警戒感をひろげている。自衛隊の海外への展開や憲法改悪などがすすむなかで、そのこととむすんだ日本のナショナリズムの高揚への警戒は強まらざるをえない。③アジアの人民との関係でいえば、アジアの民主主義が広がれば広がるほど、その国の歴史の見直しに結びついて、日本の歴史認識の問い直しがおこなわれざるを得ない。

 村山談話の継承は意味あることだが、もともとそういった矛盾を内包するという性格をもつ。今後の安倍首相の発言は十分注視が必要であるとも言える。

 あんまり、あたっていないかもしれません。自分では、オーソドックスな見方なような気もしているのですが、いかがでしょうか。
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