格差社会
忙しくて、なかなか本が読めない日が続きます。それでも、たまった読まなければいけない本を1つひとつ、なんとかこなしていこうと思います。その1冊がこの橘木さんの『経済格差』。かつて『日本の経済格差』で、「平等社会」と信じられてきた日本で、経済格差が広がりつつあることを指摘し、論争をおこした著者が、現在の、論争にあらためて問題を提起しています。氏も指摘するように、現在の論争は、 政府が「格差は日本が高齢化していることによる見かけである」という見解を発表したことに端を発します。政府はその後、「格差は悪くない」「格差が広がることは経済成長に必要」といった格差を容認する主張をするようになります。そして、著者の主張は、「格差は出てもしかたない」のか?という問いかけです。
そこで、著者が、注目するのが貧困の問題です。「OECD(経済協力開発機構)が2004年末に公表したデータでは、日本の貧困率の高さは先進国の中でアメリカ、アイルランドに続いて第3位。2006年7月に発表したデータでは、勤労世代(18歳から65歳まで)に関してはアメリカに次いで第2位の高さ」。
さまざまな、分野の、さまざまな指標で、この問題を解き明かしていて、非常に面白く読めました。
注文は? 私としては、やっぱり近代経済の手法で、数の分析になっていること。要因への切り込み、その解決方法への接近は弱いこと。労働現場の問題も、日本の労働組合運動の弱さから、企業にとって制御のないノンルール状況がひろがっていることへの、視線はない。
格差や貧困の解決にとっても、たたかいこそ必要だ。その視点は私たちが提起すべき研究課題なんだろうけど。
人気blogランキングへ 励ましのクリックを
« 「自律的労働時間制度」導入でどうなる | トップページ | 抗議のメールを集中しよう! »
「読書」カテゴリの記事
- 10月号ができました(2024.09.11)
- 「歴史抹殺の態度を変えさせなければ」8月31日に都内で関東大震災朝鮮人・中国人虐殺犠牲者の追悼大会(2024.08.25)
- 木原稔防衛相、終戦の日に靖国神社に参拝 韓国「時代錯誤的」と反発 :「ニライカナイには行けない」(2024.08.15)
- 9月号ができています(2024.08.12)
- 『沖縄県知事 島田叡と沖縄戦』と「島守の塔」(2024.07.28)
「経済」カテゴリの記事
- 「エイジアン・ブルー 浮島丸サコン」(2024.09.10)
- 赤旗日曜版にJCJ大賞 自民派閥の政治資金不記載(2024.09.09)
- 河野大臣「自由に働き方を決められる制度が大事」 希望者には“勤務時間の上限廃止”も 働き方の規制緩和を表明(2024.09.05)
- 小1の不登校が2年で倍増 「幼・保・小」の連携で対応(2024.09.01)
- 私の問題から、みんなの問題に(2024.08.28)
コメント