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2006年10月

2006/10/31

再びいじめについて

 LEE JI HOONくんから、韓国のいじめについてのコメントをいただきました。JI HOONくんの質問に答える形で、今日は、エントリーをしたいと思います。以前にも書いたと思いますが、自分の子どもたちを見ていても、以前の”いじめ”とは何か様相が変わってきているような感じを受けています。中西新太郎さんの議論などを参考に、自分なりに描いてみれば、子どもたちの価値観が、学校的な価値や家庭を基礎にしたような価値と違う、子どもをターゲットにした商業主義的な価値観や、メディアによる価値観に大きく左右されるようになっているということがあります。そこでは、あまり人間を大切にするような価値観が重要視されずに、人間の尊厳がいわば軽く扱われる。たとえば、日本のバラエティ番組などは、人間を尊厳をふみにじるようなひどい内容が氾濫しています。非人間的な大人社会のありような反映以外何ものではないのでしょうが、こうしたなかで、子どもたちは、身近な人間関係のなかでも、お互いの人間性を尊重し会うような関係を築くのがとてもむずかしくなっているということでしょうか。

 いじめは世界のどこでもありようです。こうした日本の状況が、外国と共通するのか、そうでないのかは、まだよくわかりません。ただ、共通している面もあるようで、同時に、日本的なゆがみもあるような気もします。

 もう1つ困難だなあと思うのが、いじめ事件がおきた後の問題です。この間の事件の学校の対応が異常であったことは否定のしようがありません。教育委員会の問題も、同じです。しかし、メディアとの関係も、むずかしいなと感じざるを得ません。もちろん、問題を正面から真面目にとらえ努力されている報道関係者もいます。真摯で有効なコメントを出されている専門家もいます。が、同時に、視聴率を気にして、センセーショナルに取り上げている番組もあるのです。
 現場の先生にとっては、事件が明らかになったとき、被害者の人権を最優先で考えることは当然ですが、同時に、加害者や傍観者だった生徒にたいして教育的な対応が求められるのも事実です。単純な犯人探しや告発だけでは、問題は解決しません。しかし、メディアの目は、なかなかそういった問題に落ち着いた対応をする条件を与えてくれません。
 もちろん、現実には隠蔽体質とよばれるような傾向も、生まれているのでしょうから、メディアの目は必ずしも否定するものではありません。が、同時に、教育的な空間を、どう保全するかということも重要です。何か答えのある問題ではないのかもしれませんが、むずかしいなと思います。いくつかの番組を見ていて、少し腹立たしくも思えるのも事実です。
 最初に書いたように、子ども理解がむずかしくなっているだけに、この問題はつねに頭の中に入れて考えておきたいものです。それだけに、個々の学校での、学校・教員と父母や地域との連携の正念場とも言えるのかもしれません。はたして、その願いに学校がこたえることができるのか…。
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6者協議再開へ

 今夜はビッグなニュースですね。

 6カ国協議、近く再開=米朝中首席代表が合意(時事)
 中国外務省は31日、中国、北朝鮮、米国の3カ国が北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議を近く再開することで合意したと発表した。再開されれば昨年11月以来1年ぶりとなり、北朝鮮の核実験で極度に高まった緊張がとりあえず緩和される見通し。早ければ11月中にも再開される見込みだ。…

 世界が、たしなにいろいろな思惑があるにしても、平和解決をめざしたなかで、ただただ、日本の一部の政治家の前のめりな姿勢が目立ちました。安倍さんはどんな戦術を描いていないでしょうか? 知りたいものですが。
 とりあえず、一歩動き始めます。先行きは、未知数ですが、戦後の国際社会の原点が、いまこそ力が発揮されることを願って、注視していきたいもです。
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2006/10/30

学校はどこに向かうのか

 国会では、教育基本法「改正」案の審議が再開しました。そのなかでも、「いじめ」が大きなテーマになっています。先日のいじめについてのエントリー以降には、岐阜でいじめ自殺と思われる事件が起きています。十分な対策を抜きにして、報道でこれだけ垂れ流されれば、自殺の伝染は容易に予想ができたはずです。くり返しになりますが、いくつかの事件では、いったい学校はどうしたんだろうかと思えてきます。どうも、為政者たちは問題を教師の規範意識、教師としての自覚というところにもっていきたいようですが、ことはそんな水準には思えないのです。そもそも、子どもの立場になって、問題を考えるというところで根本的なずれが、学校のある部分にあり、それがまわりを渦のように書き込んでいるという印象です。

 そして、先日、50代の教師が校長からのパワーハラスメントのため、自殺をし、公務災害の認定をもとめる訴えが、まただされました。

 『校長のパワハラで自殺』 50歳教諭遺族 公務災害申請へ(東京)
 千葉市立中学校の教諭土岐文昭さん=当時(50)=が九月に自殺したのは、校長(58)のパワーハラスメント(パワハラ)が原因だったとして、土岐さんの妻聖子さん(47)と長男紀文さん(23)が二十八日、地方公務員災害補償基金千葉県支部に公務災害の認定を求める考えを明らかにした。…

今日は、履修問題にからんで、校長の自殺です。
茨城県立高の校長が自殺 山林で、近くに遺書(共同)
 30日午後4時すぎ、茨城県大子町の山林で、県立佐竹高校(同県常陸太田市)の校長高久裕一郎さん(58)が首をつって自殺しているのを大子署員が発見した。近くに遺書のようなものがあり、同署などは原因を調べている。同校は必修科目の未履修が発覚していた。…

 私たちが、社会が子どもにどう向き合っていくべきかということとともに、ここまで、学校を疲弊させたものが何なのかを考えなければならないと思います。
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ほろびゆく東京?

 昔、もうよく覚えていないけど『ほろびゆく大和』って本があった。もう30年以上まえだと思うが。古都奈良が、開発と、文化財保護軽視のために、ほろびていくというような本だっただろうか。
 今日、職場の関連のちょっとした仕事で、東京のある都立公園に行って来た。スポーツ施設はじめ、いろいろな施設も併設されている巨大な公園だ。数年ぶりにたずねたのだけど、公園の雰囲気というか、何かちがう。少し仕事をしていると、いろいろなことが見えてくる。公園のなかのいたるところが、民間に委託されていて、それぞれ運営主体が違う。そこでは、儲けや効率が優先され、なるほど、使い勝手がよくなっている部分はあるのかもしれないが、細かいところが整備されていないのだ。全体の雰囲気が統一されていなくって、もう1つ落ち着いたところがない。いろいろ歩いていると、何となく、うらぶれた、くずれゆく町の公園とまで見えてくるのだ。

 考えてみれば東京という町全体が同じようになっているのかもしれない。そこで、住み、働き、学び、憩う人々のことを考えた、都市としての全体像がない。斬りきざんな部分だけが、効率化を競い合う。そして、福祉が切り捨てられ、働く人々は仕事に追われる。こんな町にオリンピックを呼ぼうというのだ。

 なんとなく東京はほろびゆく? そんな気がしてきて、公園のなかで胸がつまりような気持ちになった。
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2006/10/29

亡国のイージスと防衛「省」昇格と

002_1 今年の正月に、この映画をDVDで見たときに、非常に苦しい言い訳じみた、感想を書いた。今日、テレビで、やっていて、後半から何となく、見入ってしまった。阪本順治は、映画はうまい。でもでも、はっぱり、評価できない評価できない映画であることは事実。
 映画を見ていて、いろいろな側面をかかえながらも、日本の軍事力はここまできたのか、と、つくずく思う。イージス艦、F2などなど。そんななかで、この不安定な、戦争の火の手がやまない世界の中で、私たちは、何をすべきなのかということは、さっぱり伝わってはこない。人を大事にしろという主張はわかる。たたかうことの悲しみもわかる。どうして、自衛隊を描くのなら、憲法9条をからめて問わないのだろうか。私自身の立場からすれば、だからこそ、9条が力を発揮するという言葉をもたなければと痛感する。

 おりしも、防衛「省」への昇格法案成立への決意を首相が語った。どうやら、この法案をまず最優先にするということのようだ。正直、読みははずれた。しかし、問題はあまりにも多い。海外での活動――これはなにをどう解釈しようが、憲法の許すものではない――を、自衛隊の本務とする。巨大化した、戦争をする(アメリカとともに海外で)部隊とどう向き合うのか、ということが問われている。
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二男の文化祭

 今日は、二男の学校の学園祭です。ちょっとだけ、除いてきました。本人はほんとにいやがっていましたけど。
 出し物はというと、なかなかのものです。電動イライラ棒をクラスでつくりあげていました。
 その後は、つれ合いの買い物のつきあいです。明後日から、スウェーデンです。科研費の研究調査です。つれ合いは、大学院への道も着実にすすめているようですが(ああ学費が)。その後、つれ合いと食事ですが、今回も、途中で、二男から、うちあげがなくなって、夕食がいるぞというメールが、しかも家から…。
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2006/10/28

御手洗冨士夫「強いニッポン」

 今日は、一日大阪への出張です。私の生まれ育った町です。西九条周辺は、5年ぶりくらいでしょうか。懐かし町並み。
 さて、電車のなかでは、実は、爆睡。それでも帰りに電車のなかで、少しだけ、新しい日本経団連会長であり、経済財政諮問会議の委員となった御手洗冨士夫さんの『強いニッポン』という朝日新書をパラパラと読み始めました。ほんの最初だけですが、いろいろ興味深く読みました。
 タイトルは、強い日本です。安倍新内閣が出来たとき。私は、このブログで、キーワードは強い国家だと書きました。なんとなく、そのことを実証してれるような本です。そして、この強い日本とは、強い国家に支えられた、強い日本(の大企業の)経済をささえる、国民になれというすすめです。「改革」ということがもてはやされ、御手洗さんは、キヤノンで、どのように企業改革をすすめたのかという自慢話が続きます。しかし、キヤノンの成長を支えた、非正規雇用の拡大や、そこで生じた偽装請負なんて問題は、もちろん全然出てきません。ただ、彼の主張でなるほどと思えるのは、企業は、利益を拡大することにこそその目的があるという主張です。だから、今度の経済財政諮問会議での、非正規雇用のさらなる規制緩和の要望がでてくるんでしょうね。そして、国がおこなうべきこととして、主張されるのがあらたな成長政策=「イノベーション」です。
 ここで、勉強したいなあと思ったのが、氏が、学ぶべきといった、80年代以降のアメリカの経済政策についてです。現在のアメリカの経済を支えている1つの点としては、ニクソン・ショックというものあります。そのもとので、ドルの特権です。氏の主張する、80年代以降の技術革新。IT化についてはいろいろ論じられてきていますが、なにやしら自分のなかで、きちんと整理しなくっちゃ、日本経済の未来やグローバル化のなかでどう生きるのかということについて、ちゃんとこたえられないかもなんて、ちょっと勉強したくなりました。私のもっとも弱い経済のお話です。
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請負会社への出向「違法」 

 今日の、朝日の朝刊の記事をWEB版から

請負会社への出向「違法」 厚労省、松下電器を指導へ
 松下電器産業の子会社「松下プラズマディスプレイ」(MPDP)の茨木工場(大阪府茨木市)で働く松下の正社員が請負会社に大量に出向していた問題で、厚生労働省は、出向の実態が職業安定法に違反する労働者供給事業にあたるとの判断に達し、近く松下本体に対し、是正を求めて行政指導する方針を固めた。請負会社への正社員の出向は、「偽装請負」を禁ずる法の網の目をかいくぐる手法として、他の大手製造業にも広がる可能性があったが、これで歯止めがかけられる見通しとなった。…

 もともと、この請負をおこなっていた、クリスタルグループの企業は、技術指導の出向受入を売りにしていたのです。当局の関与もあったのかどうか、知りたいところです。
 同時に、こうした派遣や請負、そしてそれを利用した違法、脱法行為は、発注する企業の利潤を確保することが最大の動機とするもの、発注企業の責任に、もっと社会的なメスが入っていかなければなりません。
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2006/10/27

報道の自由、日本は51位

 数日前の読売新聞で、次のような記事がありました。

 報道の自由…北朝鮮5年連続最下位、日本は51位 国際的なジャーナリスト団体「国境なき記者団」(本部パリ)は24日、168か国を対象に報道の自由に関する調査結果を公表した。
 北朝鮮が調査開始の2002年以来、5年連続で最下位、日本は51位(前年37位)だった。調査結果は北朝鮮について、「絶対的な権力を握る金正日体制が報道界を完全に支配している」として報道の自由がないことを指摘している。東アジアや中東に報道の自由に欠ける国が多く、ミャンマー164位、中国163位、イラン162位、イラク154位などの順。……日本については、記者クラブの存在とナショナリズムの高揚を順位低下の理由として指摘した。…

 ちなみに、この調査結果そのものは、国境なき記者団のHPで掲載されている。
 http://www.rsf.org/rubrique.php3?id_rubrique=639
 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』の国境なき記者団の項には、ここ数年の調査が日本語で掲載されている。

 この調査そのものは、欧州の価値観が大きな尺度になっているような感じがするし、それぞれの国の、歴史や文化的な事情を十分考慮したものではないとも思える。ただ、1つの尺度としては重要な問題提起をしているとも言えるのかもしれない。
 とくに、日本が51位というのは、注目していいようにも思う。上位には、東欧のいわゆる旧「社会主義」国もある。韓国も31位だ。10数年前までは、独裁のもとにあった国にくらべても、日本の報道の自由度が低いという指摘は、日本の今にたいする重要な警告ではないのだろうか。
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2006/10/26

秋葉原の風景

 通勤で秋葉原ととおります。しかし、残念ながら、ぶらぶら歩く機会があるわけではありません。メイド喫茶などにはいったことはありませんので、今日はその報告ではありません。たまたま、注文した本を有燐堂にとりに、ヨドバシカメラに。一階は、携帯電話売場です。今日は、ソフトバンクの売場に黒山の人盛り。そうそう、自社間の通話料を無料にし、ついに携帯電話機自体の料金も0円にしたからです。

 いよいよはじまったという感じです。これからの携帯の世界は、どんなものがまっているのでしょうか。いったい何が、料金を決めているのかもよく分かりません。こういった、低料金戦争の裏で、労働現場ではどんなことがおこっているのでしょうか。新しい経済のうらでおこっていることは何なのか。少し、おそろしいものを感じながら、今日も家路についた次第。
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高校履修問題

 全国の進学校で、学習指導要領で決められた教科の授業を大学受験を優先して、きちんと履修していなかったことが大きな問題になっています。「受験優先のゆがみ」ということは言うまでもありません。しかし、この問題は、おそらく、ずっと長い間、公然、非公然のいろいろなやり方で、おこなわれてきた問題だと思います。私学もふくめれば、なかなかややこしい問題だろうと予想がつきます。
 ここで、とわれざるをえないのは、学習指導要領で決められている、教育内容の中身であり、同時に、そういった学校での教育内容は、本来だれが決めるべきなのかという問題でしょう。こうした本質的な問題まで、ことは、発展せざるをえないのだと思います。(それが、反動的な対応になるのか、子どものとって大切な方向になるのは別として)
 そこでまたまた問題にならざるをえないのが、「日の丸」「君が代」の問題です。学校現場に、これが強制される根拠はいうまでもなく、学習指導要領にあります。これまで、「日の丸」「君が代」については、躍起になって強制して、徹底して調査して、処分者まで出しているのです。しかし、こと授業についてはこのありさまです。そういえば、今日はこの事件は東京都立の学校にまで広がりました。
 もう一度いいます。あらためて、学習指導要領は何のためにあって、学校の教育内容はだれが決めるべきなのか。そうした論議をするべきではないでしょうか。問題の発端となった社会科の必修科目なるものについて、誰が、これが大事だと説明できるでしょう。官房長官のように「ルールはルール」ですまされる問題ではないでしょうから。
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2006/10/25

神楽坂の風景

 神楽坂周辺は、出版社や印刷工場がならぶ。私の職場は別のところにあるが、印刷工場に詰める際は、神楽坂が多い。さて、その神楽坂の風景が最近大きく変わっている。路地を入ると洒落た、居酒屋、レストランなどなどが増えている。というか乱立している。ほんの半年ぐらいの間に。思わず、バブルを思い出す。いえいえこれってミニバブルって思えてくる。
 日本の経済はどうなっているのだろうか。IT関連などは相変わらずの景気、鉄鋼なども中国景気が続く? でも全体はやはりお金は、投機に向かっているようだ。経済の発展がある時点にまでいけば、そして、後発国の生産性がある時点にまでくれば、企業が利潤を追求しようとする限り、お金は、放っておけば投機に向かう。そのことを日本の経済は示しているようにも思える。
 これが「構造改革」の姿。格差社会の表面に見えるもの。そんなことを感じながら、神楽坂を横切って、家路についた。
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2006/10/24

新任教員の自殺

 今日のテレビのニュースで、この事件をはじめて知りました。すでに6月の段階で、新聞などでは報道されていたようですが。
 今年、採用された新任の先生が、6月に自殺をしていたという東京、新宿の事件です。親御さんが、公務災害の認定を求めて、訴えたそうです。
 ネットで検索してみると次のような記事に会いました。
 新宿区立小の新任女性教諭自殺:新宿区「公務災害へ配慮」 /東京(毎日新聞)
 また、つぎのようなブログに見つけました。
 http://blog.so-net.ne.jp/eagle/2006-06-21
教員の方のブログで、自殺した先生の友人の方もコメントされています。

 先日、yasuさんが、私の「いじめ雑感」というエントリーに、コメントをつけてくれました。いまの学校が、文部科学省の言うことをおこなうための学校になっている様子を報告してくれています。そこでは、目標に追われ、子どもが見えなくなっている状況が浮き彫りになっています。
 きっと、この先生は、真面目に、子どもや父母との対応に悩み、誰に相談することもなく、追いつめられていったのでしょう。いまの学校現場は、新任の先生も、即戦力として、一人前の能力を最初から求められ、支える先輩との関係もつくれないという過酷な状況があるようなのです。
 このブログでも紹介した、昨年の、私の住む隣町の、学校のなかでの新任教師の自殺は、結局、その真相すらほとんど明らかになっていません。教員の働く職場の現状がどうなっているのか。子どもが豊かに育っていくためにも、光をあて、メスが入れられるべきなのかもしれません。それはいじめの解決にとっても重要なことでしょう。学校は、人間が人間として、尊重される、人間らしい場であらなければならないと思います。
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2006/10/23

ああ中川昭一…

 一方、核保有の検討発言で物議を呼び起こしている中川昭一政調会長。今度は、毎日新聞で、こんな発言をしている。「デモで騒音をまき散らす教員に児童・生徒の尊敬を受ける資格はない。免許ははく奪だろう」とのべています。民主主義の「み」の字もこの人は知らないのだと言うことは、NHKの事件でわかってはいましたが、ここまでのとは。先の糖尿病発言といいもうとどまることを知りません。

 まあ、私としては、アジアの平和を踏みにじる核保有発言をするような政治家に教育を語る資格はないと言いたいですよね。いつまでも暴言を許していてはいけません。 

 教育との関係で言えば、教育社会学の広田東大教授が氏の著書で言っているように、政治や社会問題に無関心な教師が増えていることこそが、教育の困難をつくっている指摘のほうが説得力もあり、重要だと思います。
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北海道人事委員会の決定

北海道人事委員会が「君が代」の斉唱にかかわって、次のような決定を採択しています。まあ、問題となった事件そのものは、議論の余地はあるのかもしれませんが、先の東京地裁判決をうけ、子どもの権利にまで踏み込んで、「君が代」の斉唱の強制に踏み込んで、異論をのべていることは注目されるべきだとも思います。以下北海道新聞のWEBから

国旗国歌 道人事委が拘束力否定 男性教諭、懲戒処分取り消し
 中学校の卒業式で君が代演奏のカセットテープを止めたとして、懲戒戒告処分となった男性教諭(49)が処分取り消しを求めていた不服申し立てで、道人事委員会は二十三日、処分取り消しの採決を決め、教諭に通知した。文部科学省や教諭の主任代理人の後藤徹弁護士によると、日の丸・君が代をめぐる懲戒処分で都道府県人事委が懲戒処分を取り消したのは、全国初とみられる。 ……

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2006/10/22

伏竜特攻像

 私が、遊就館に行って、いちばん衝撃をうけたものの1つに、伏竜特攻像というものがあります。
 その碑文には次のようにあります。

 太平洋戦争末期、連合軍の本土上陸作戦迎撃のため十六・七歳の若人を以って伏竜特攻隊が編成された。簡易潜水器、竹竿の先端の五式撃雷(通称、棒機雷)により、頭上の敵上陸用舟艇群に体当りする苛烈な訓練を重ね、多くの殉職者を出した。…

 これって、どういうものか想像できますか? 簡易のアクアラングみたいなもを着想して、爆弾を竹槍の先につけて、敵艦に突撃するというものです。驚くべき究極の特攻です。浮き上がらないように、かなり重い装備をつけて海に入るわけで、実際には、訓練中、海のなかで倒れて、起きあがれず溺死したり、器具の不備のため相当数の人が死んだそうです。実戦投入されることもなく終戦を迎えたそうです。歴史研究者の岩井忠熊先生のお兄さんもこの訓練に参加した経験があるそうです。
31551673
 遊就館の一階にひっそりと飾られているのですが、これこそが、日本の戦争が、いかに兵士の命というものを軽いものと考えていたかを示しているように思えてなりません。そう思って、いっしょにいった若者たちには、いつもこの像は、しっかり紹介するようにしています。みんな、おどろきます。
 東京新聞の(私より)若い記者が、『人間機雷「伏竜」特攻隊』という本を出しています。
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鎮霊社って知っていますか

 今日は、10代から20代の若者たち15人ほどと、靖国神社のフィールドワークに行って来ました。今年、3回目でしょうか。そこで、新しい発見がありました。
 みなさんは、靖国神社のなかに、鎮霊社という祠があるのをご存じでしょうか。本殿に祀られていない日本人戦没者(民間人や、戊辰戦争の旧幕府軍や西南戦争の西郷隆盛方戦没者などの「朝敵」)、また世界中の戦没者がまつられているとされている社です。東京オリンピックの時期に、やはり靖国のあり方が国際的な批判を気にしてか、1965年(昭和40年)7月建立されたものです。とても小さくて、そまつな建物なのですが、実は、この鎮霊社は、これまで、一般の人間は、入ることができない場所だったのです。それが、最近の靖国批判をそうとう神社の側が、意識してのことでしょうか、この10月17日から、参拝できるようになっていました。当然、私も、はじめて、しっかりと見ることができました。

 遊就館のほうはといえば、展示が修正になるという報道がされていますが、今日、見てきた段階では、例のルーズベルトの記述などについては、まだ手はつけられていませんでした。
 朝の10時半に集まって、4時半すぎまで。さすがに疲れました。
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2006年10月17日より一般の参拝が可能となった

2006/10/20

いじめ問題、教育再生会議のテーマに

 いじめ問題が、政治の舞台でもとりあげはじめている。今日は終日、国会での審議もおこなわれたようだ。首相は記者にたいして次のようにのべたという。

いじめ問題、教育再生会議のテーマに…首相が表明(読売新聞)
 安倍首相は20日、いじめによる児童・生徒の自殺が続いていることについて、教育再生会議で議論のテーマとする意向を表明した。首相官邸で記者団の質問に答えた。
 首相は「いじめの問題は昔からあったのは事実だが、最近、極めて深刻化している」との認識を示した上で、「教育再生会議においても、この問題をどうすれば解決できるか、議論をしてもらいたい」と述べた。また、「学校、家庭、地域で取り組んでいくことが必要だ」とも強調した。

 昨日は、文部科学省が全国の教育委員会の担当者会議をおこなっている。そこで配布された、資料などを見てもいえることだが、実は、文部省は、いまから10年前に、いじめの対応についての基本的な方針を発表している。たとえば「いじめの問題に関する総合的な取組について」が、それだ。昨日の会議でも資料として配付されたようだ。
 この通知そのものは、大きくまちがったものであるとは言えない内容だとも言えるかもしれない。むしろ、読んでいる限り、なぜ、こうした取り組みが定着しないのかということのほうに問題があるようにも感じる。何も、事態の原因を文部科学省だけにもとめようとは思わないが、この10年の取り組みについての真摯な議論の先頭に、まず政府が立つことが求められているようにも思う。
 では、なぜ教育再生会議で議論なのか。現場や教育委員会の責任が大きいということを前提にしながら、文部科学省の官僚に責任を押しつけることにはならないのだろうかとうがった見方をしたくなるのは私だけではないだろう。政治もふくめ、真摯な自己分析と広い議論が求められる。そのことを忘れてはなるまい。
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クリント・イーストウッドの言葉

 安倍首相は、映画監督をめざしたこともあり? 映画がとても好きなようです。著書『美しい国へ』のなかにも、映画についてふれた箇所が何カ所かあります。1つが「ミリオンダラーベイビー」で、もう1つが「三丁目の夕日」です。ずっと、この「ミリオン…」に関する記述は、引っかかっていました。

 今日の朝日の、その映画の監督であるクリント・イーストウッドのインタビューがのっていたのを興味深く読みました。

「政治家、殺し続ける」 「硫黄島」イーストウッド監督
  「ずっと前から、そして今も、人々は政治家のために殺されている」――。太平洋戦争末期の硫黄島攻防戦(1945年2~3月)を描いた米国映画「父親たちの星条旗」の公開を前に、監督のクリント・イーストウッド氏(76)が19日付の仏紙ルモンドに自身の戦争観を語った。
  ……
  「米国が今ほど分断されたことはない。私はイラクへの介入は優先課題ではなかったと考える側だ」と、現ブッシュ政権の対応を批判する。
  「政治家たちは最前線にいる者の運命より、自らのちっぽけな権力を行使し、保持することに関心がある」と厳しい。

 いまだ、イラク戦争を支持し続け、北朝鮮の問題も、政権の内外から、軍事的対応に前のめりになった発言が相次ぐ、安倍内閣。このイーストウッドの言葉をどのように聞くのだろうか。
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2006/10/19

どこまで企業本位を主張するのか

 今日の新聞を読んでいて、いちばん驚いたのは、やはり経済財政諮問会議での、御手洗経団連会長の発言でしょうか。
 朝日新聞には以下のような、記事があります。

請負法制「無理ありすぎる」 御手洗氏、経財会議で発言
 御手洗冨士夫・日本経団連会長が、経済財政諮問会議で、請負の法制について「無理がありすぎる」と発言していたことが、18日公表された議事要旨でわかった。厚生労働省が違法な労働形態である「偽装請負」への指導を強めているなかで、あえて財界トップとして、現行制度が企業に厳しすぎることへの不満を表明したものとみられる。…

 そこで議事録を見てみると、たしかに次のような記述があります。

 (御手洗議員)…少し本件について話をしたい。2つ問題がある。 1つは、労働の多様化。多様化の一つの中身として、派遣社員と請負社員がある。結論から言うと、実は、このおかげで、日本の産業の空洞化がかなりとめられている。ただ、この制度にも問題がある。請負は、請負事業者が全部自分で労働者をトレーニングして、何かの仕事を請け負う。その場合、受け入れ先の人はいろいろ指揮命令ができない。これは当たり前のことだと思う。一方で、派遣は、ただ単純に派遣して、派遣先で監督や訓練をしてもらおうということになっている。これも問題ない。ところが、請負の方が中小企業に多いため、例えばAという会社に行って請け負う、それからまたBに行って違う職種で全部請け負うような場合がある。その場合、現実には、会社の職種に応じた訓練を請負事業者が全て行うことはかなり難しい。ところが、受け入れた先で指揮命令してはいけないという中に、いろいろ仕事を教えてはいけないということも勧告で入っている。そこに矛盾がある。どんな工場に行っても、例えば何か突発的な事故があったり、難しいことがあったりすると、その現場で雇っている方が教えるというのは当たり前で自然の流れである。ところが今の勧告では、それは指揮命令という言葉の中に含まれるので、そういうことはできない。法律を遵守するのは当然だが、これでは請負法制に無理があり過ぎる。勧告にも無理があり過ぎる。これを是非もう一回見直してほしい。
 もう一つは、…今の派遣法のように3年経ったら正社員にしろと硬直的にすると、たちまち日本のコストは硬直的になってしまう。それは空洞化に結びつくことになる。したがって、ここはもう少し市場に任せてほしいということと、派遣法を見直してもらいたいということ、この2つを申し上げたい。

 結局、偽装請負が広がるのは規制のせいだから規制をやめてほしいということでしょう。
 もともと、請負にしろ派遣にしろ、大企業の儲けを拡大するためにつくられた、ある種異常な働き方の制度と言っても過言でないと思う。それをより、大企業の儲けを保障しろというわけだ。
 経済財政諮問会議という制度そのものも、首相と同じ、きわめて偏った(大企業の儲けを優先する)人による政策会議で、その権限がこれだけ強まっているのは、議会制民主主義のあり方からも本来、検討は必要だと感じる。
 より、大企業べったりの議論がすすまないかをよく見ておく必要がありそうだ。
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2006/10/18

いじめ雑感

 いじめ自殺という、ほんとうに痛ましい事件が相次ぐ。
 そのなかで、教育委員会のあり方や学校のあり方に批判が相次ぐ。たしかに、事件で報道されている教員のありようについては、おそらく弁解の余地はないと思う。学校のどうしてしまったのかとも感じる。これらの事件だけではなく、いま日本の学校は、きわめて深刻な事態のなかにある。そう言えば、数年前の長崎の校内での殺人事件では、学校は休校という措置をとらなかった。私の住む近くの市でおこった教師の校内自殺の事件では、早朝発見されたにもかかわらず、その日の授業はすべておこなわれ、おまけに授業参観まで敢行されていた。学校は、命というものにたいして、言いようがないほど鈍感になっている。

 しかし問題は、ここからだろう。ここで、学校や教員、そして教育委員会が責めを負わなければならないことは否定のしようがないが、それだけで問題が解決するのかということだ。おそらく、ここ数年の子どもたちの変化は、学校や教員の理解も、能力も超えている。子どもをとりまく消費社会の肥大化の中で、子どもの意識も生活も、学校や家庭の対応だけでは、接近できないような様相が生じているのではないか。家庭の困難の増大も同様だ。格差社会の拡大は、たんに個々の努力では、子どもの成長など支えることができないほど困難をつくりだしている。ここに、教育行政による結果を数値でもとめる”評価”制度が事実上もちこまれいる。これでは、いじめの問題など解決する糸口すら見つからない。
 たしかに、いじめや子どもの問題に正面から向き合うすばらしい教師たちの努力や実践は少なくない。そこに学ぶことは重要だ。が、しかし、同じぐらい、経験も力量ももった教師たちが、子どもに対してどまどい、疲弊し尽くしていることも事実だ。問題は、そして、今求められていることは、まず、現状を、教育の専門家の視点で、しっかり提示すること、教育の専門家として、何をしようとして、何がうまくいっていないかも含めて、すべて公開するということではないだろうか。そして、子どもの声、親の声をていねいに聞くとりくみが必要なのではないのだろうか。

 この問題を通じて、教員の”評価”という問題に一面化されたり、上からの点検ということが強められないかということにも懸念を覚える。そういえば今日から教育再生会議がスタートした。基本法の審議のゆくえを含め、教育のあり方も正念場を迎えている。
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ふたたび軍事的対応に傾斜しないこと

 北朝鮮の核実験をめぐっては、緊迫した局面がつづく。動きも驚くほど速い…。

 たしかに制裁決議は、重大な意味をもつ。九月一四日に採択された安保理決議一七一八が、七章に言及したことは、この北朝鮮の核実験を、六章の「紛争の平和的解決」の枠をこえ、「平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動」という重大な事態として認識しているということを意味する。
 しかし、「七章四一条にもとづく措置」ということが明記されている。四一条そのものは、「その決定を実施するために、兵力の使用を伴わない」非軍事的な措置とされている。現在、問題となっている船舶検査についても、「すべての国連加盟国は、自国の国内法上の権限及び国内法令に従い、かつ国際法に適合する範囲内で、必要に応じて、北朝鮮に出入りする貨物の検査などを通じた協調行動を取ることが要請される」とする。「緊張を激化させる可能性のあるいかなる行動も慎み、六カ国協議の早期再開を促進する外交努力」を強めることも求めている。いかに、平和的・外交的な解決の道に戻すのか。決議をそのことを求めている。

 ところが、安保理決議について、日本では、どうも軍事化の方向にひっぱろうという動きが目立つ。今日の夜のニュースでは、防衛庁は、すでに周辺事態法にもとづいて対馬海峡で船舶検査をすすめることを検討しているという。周辺事態法とは、日米の軍事的共同をとりきめたもの。これは、憲法はもちろん、先の安保理決議との立場とも大きくちがう。
 ましてや中川政調会長の核保有議論発言など、論外だ。久間防衛庁長官は、「(米軍の戦艦と自衛隊が)連れたっているとき(米艦)が襲われ、自衛隊がいっしょに防御するのは、正当防衛が成り立つのではないか。補給活動をやっているときは、どちらに対する攻撃かはなかなか峻別できない。(自衛隊法上の)武器等防護の規定に基づいて反撃せざるを得ない」という発言までしている。自民党の片山虎之助参院幹事長も、「(公海上で米軍と自衛隊が一緒に航行している場合の対応について)米軍の艦船が攻撃を受け応戦している時に日本が傍観するのは世界的に通らない。個別的自衛権の一種の拡大で(反撃を)認めていい」とのべ、「見直して説明できるものは(個別的自衛権の)拡大として、それ以外は憲法の改正でやる。国民も納得するし、国際的にも認知される」とあけすけに本音を語っています。改憲までは、集団的自衛権に関する解釈を広げるだけ広げ、そして、改憲をめざすというわけだ。
 日本の為政者は、国連憲章の精神や世界の流れとは違う位置にいるようだ。
 さて、明日はどう動くのだろうか。
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2006/10/17

ヤンキー先生の変節

 「ヤンキー先生」の愛称で知られる横浜市教委の義家弘介・教育委員が、教育再生会議の事務局長に就任したが、そのインタビューが今日の「朝日」に掲載されていた。その内容を読んで、ちょっと驚いたというか、その変節ぶり、退廃状況にガッカリをとおりこして、あ然とした。

 ――教育の地方分権についてどう考えますか。
 分権もいいが、市町村などの教育委員会は機能していない。教育委員が組合推薦がないと選ばれないとか、あて職や名誉職もある。自殺した子供が遺書を残していた事実を1年以上も非公開にしていた教委に何の権限も渡せない。まず教委にメスを入れ、国が教委評価をやるべきだ。
 ――国旗・国歌法は。
 公立校に勤務していたら順守します。キリスト教の学校で、(教師が)「私は仏教徒だから礼拝に生徒を出しません」ということがまかり通れば教育現場はメチャクチャになってしまう。

 論理も何もあったものじゃない回答。無理やり、屁理屈をのべる、産経流の言い方ではないか。これでは、為政者の教育「改革」の代弁者でしかない。
 残念だが、これだけの人だったのか。こんなに人間的に醜い姿は、ちょっと見たくはない。
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2006/10/16

検証 戦争責任Ⅱ

027193140000 やっとほぼ読み終えつつあります。Ⅰの最初のころのトーンから考えると、かなり普通の(保守にとって)になっています。専門家に言わせれば、これまでの支配層の議論のほぼ延長線上にあるとか。やや評価が厳しくなっているのが、広田弘毅、鈴木貫太郎、東郷茂徳 あたりにたいしてとか。
 とくにこのⅡは、時系列で記述されていることもあり、大半が、そのときの戦争指導者の判断の誤りにその対象が偏っています。その対象には、資料が不十分という理由で、侵略の実相などはかなり部分的なものになってしまっています。きわめて狭義の戦争指導責任論にとどまっているというのが感想です。対外的な責任などは除外され、国民の被害にたいしてどう責任があるかという視点に終始しているのです。また、天皇の戦争責任も結論としては、免責されています。ここはⅠとかなりちがうところです。
 ただ、だいじなことは、ことの発端となった、靖国問題とこの戦争責任問題が重なったことを通じて、パンドラの箱をあけてしまったということでしょうか。結局、天皇の戦争責任も免罪しているといっても、天皇が何をしたのかについては、かなりふれざるをえないのです。
 ある意味で、この本は、現在の戦争責任問題をめぐっての、保守の内部が抱える矛盾や問題点を、実にリアルにあらわしているということが言えるのかもしれません。
 この本をすすめるかって? 他に、読むべき本があることは事実ですが。
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2006/10/15

靖国と天皇

 今日は、戦争責任資料センター主催のシンポジウム、「靖国と天皇-追悼の政治学-」に行って来ました。一橋大学の吉田裕さんが、「天皇制と靖国」と題し、靖国神社自体がかかえる問題や靖国神社が戦争責任問題の前面に出ることによって生じる矛盾、そして現在の天皇制をめぐる問題について報告。新しい内閣をめぐってもその根っこの弱点がわかります。つづいて韓国在住の日本現代史研究者の南相九さんが「韓国と靖国」について。韓国国内で靖国問題がどう扱われているのかがわかる報告でした。最後にセンターの上杉聰さんが「追悼の政治学」と題して、戦後の靖国と戦争犠牲者の追悼を整理、いま、この問題がどのような矛盾を生み出しているかを話されました。

 安倍内閣というタカ派内閣が生まれ、一方で、国会の審議では、村山談話も河野談話も認めるようになっています。こうした問題のもつ意味や矛盾など、参考になる議論が続きました。若い人の参加、発言もあって、その点でも参考になるシンポジウムでした。
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え、どうなっちゃっているの?

 いよいよ国連では、北朝鮮制裁の安保理決議が採択されました。国際社会にとって正念場の局面です。
 ところが、日本国内では、武力行使をあおるような、深刻な事態があります。午前中のサンデープロジェクトを見ていて、びっくりするような発言が相次ぎました。少し話はそれますが、たとえば司会者が、CIAがこれまでも北朝鮮内でクーデターをしかけたことはご存じですねってもちかけたとき、麻生外相と森本さんはニタニタとなかば肯定するような表情です。”これって、侵略じゃん”と思ってしまいます。そんなことを批判抜きで肯定するなど、許されることではありません。また司会者から、アメリカなどの核保有国の核実験に安保理決議はあがらなくて、どうして北朝鮮だけ、あがるのかの問いに、麻生氏は「嫌われているからだ」と。この人は、安保理決議の重みを理解しているのでしょうか? あまりにも情緒的です。そして麻生氏などから、周辺事態と認定し、船舶検査に参加すべきだという発言がいとも簡単にだされます。公明党までもが、船舶検査の参加に、特措法の制定をと言い出す始末です。中川自民政調会長にいたっては、非核三原則の見直しを議論すべきだとまで言っていました。

 7章の決議というのは、6章の紛争の平和的解決をこえる事態に立ち至っているという意味でしょう。「平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動」だということです。それほど重大な事態としての認識だからこそ、慎重に、平和的解決の道に立ち戻るような働きかけこそが求められるのではないのか。それこそが、武力の行使と武力により威嚇を原則禁止した国連憲章の精神であるはずでしょう。だからこそ、中国は、今度の決議に対しても抑制的な姿勢を崩そうとしなかったのだと思います。

 しかし、テレビで話し合われるのは、船舶検査で武力衝突になったさいに集団的自衛権の行使にまですすんでいます。いったいどうなってしまっているのでしょうか。私たちは、情緒にながされず冷静になって、考えなければなりません。そして、そうした点を、国際社会のなかで、1つひとつ確認と合意をとりながら、北朝鮮に働きかけることが大事なんだと思うのですが…。
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本番はこれからだ

20061014131600 昨日は、10・14集会に行ってきました。教育基本法改悪反対の集会としては、最大規模のものでしょうね。発言も元気で、会場の活気に満ちあふれていました。自覚的な人々が、この課題で立ち上がってきているあらわれでしょうね。
 しかし、本番はこれからです。いよいよ、衆院特別委員会の攻防がはじまろうとしています。
 教育をめぐっては、ここ数日、いじめ自殺についての深刻な報道がつづいています。2条や10条をめぐる理念的な問題を、こうした切実な教育的な課題にむすびつけ、より幅広い人々に、この教育基本法の問題について考えてもらうか。たいへん難しい問題ですが、そこが1つのポイントになるかもしれませんね。
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2006/10/13

新しい事態だからこそ学ばなきゃ

 北朝鮮の核実験に対して、いよいよ憲章7章に言及した安保理決議があがりそうだという。
 核実験に対しての決議ははじめてのことだろう。だが、考えてみたら、北朝鮮という国の存在も、このような性格をもつ国が核兵器をもつという事態も、ある意味では、国際社会がはじめて直面することなのかもしれない。たぶんに応用問題だ。
 7章の問題をふくめ、正直、これまでの理解では、通用しないような感じがしている。
 だからこそ、もう一度よく学んでみたい、国連憲章はどうしてつくられたのか。そこにこめらたものは。そして、それが今の世界でどんな意味をもち、どんな問題もあるのか。日本という国では憲法のもつ役割そしてその規範性。歴史のなかで、具体的な事実のなかで。理想論では決してない、生きた力と未来をめざすために、だろうか。
 うーん、むずかしいな。実務以外は、一日、本を読む、悩む。日々、勉強です。
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2006/10/12

軍事化に傾斜しないことこそ

 実際に、私の生活としては、コトーどころではない日々が続きます。今月の課題は集団的自衛権だと言ってましたが、そこで、この事態です。そう北朝鮮の核実験です。
 昨日の、読売新聞の主張は、重大です。国連憲章7章にもとづく、制裁を高く掲げ、厳しい制裁を主張します。そのうえで、6者協議の枠組みは破綻したと認定し、集団的自衛権の行使と核武装の検討まで提起しています。そこからは、ひたすら軍事大国化によって、事態を打開するという発想です。これは、実は国際的な流れとはだいぶ違うように思います。
 日本の国会でも、たしかに7章制裁をふくんだ決議が全会一致であげられています。が、あくまでも、国際的な一致による平和的な交渉による解決を求めていることが重要でしょう。あらためて、紛争の平和的解決を基本としている国連憲章の精神にたともどって、考えるべきでしょう(理論問題としては、6章の経緯をへているのかだとか、いろいろ検討すべき問題もあるんでしょうが…)。ましてや9条をもつ、被爆国日本です。
 軽々に、読売などのこうした議論にのせられるべきではありません。ためされるのは平和秩序であるとともに、私たち自身でもあるのですから。
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ドクターコトー2006

061019kotoh2006 帰宅後、後半だけ見ました。
 好きですよ、この番組。吉岡くんは、つれ合いの昔の勤務校の生徒だったし(?)。柴咲コウがきれいだしね。
 舞台の島の空気がゆっくり流れている。
 沖縄かあ。
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2006/10/11

教育基本法改正案に反対の意見書 日本教育学会歴代会長

朝日新聞のWEBから

教育基本法改正案に反対の意見書 日本教育学会歴代会長  日本教育学会の歴代会長4人が10日、臨時国会で継続審議される教育基本法改正案に反対する意見書を発表した。  意見書は、現会長の佐藤学・東大教授、元会長でいずれも東大名誉教授の大田堯、堀尾輝久、寺崎昌男の各氏の連名。与党と民主党それぞれの改正案やこれまでの国会審議について、(1)全面改正が今必要な理由が不明確(2)現行法は占領下で押しつけられたという歴史を歪曲(わいきょく)した議論が繰り返されている――などと批判。両案とも廃案にした上で、幅広い議論によって現行法の精神を発展させるべきだとしている

 実は、この意見書に、“勝手に賛同する”みんなの署名運動というのがおこなわれています。
 くわしくは
 http://www.stop-ner.jp/
 で
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ああ北朝鮮

 って感じですよね。なぜ、この国は、このような行動をとるんだろうか。
 少なくとも、実験実施声明を読むかぎりは、悲しいぐらい追いつめられているということだけはよくわかるけど。

 核実験はぜったいに容認できないのは、だれもが一致した意見だろう。その責任は、第一には北朝鮮自身にあることも。
 原則論として、国際社会に力で、どう平和的な解決をすすめることも、たぶん、そんなに異論はないだろう。問題は、それが、どういう形ですすむことになるのかだ。

 いったいかの国の内実はどうなっているのか。推測で言えば、核実験も、そんなに成功とは言えないようだし、先のミサイル発射もテポドンは失敗だったようだし。核とミサイルに傾斜した軍事予算のもとで、どうも軍隊そのもののかなり矛盾がはげしいようだし…。

 さまざまな国際社会の動きがあるんだろう。1つひとつを丁寧に情報を収集し、分析に、行動するためにも政府の責任はいまほど大きいときはないだろう。
 ことさら、この期に、集団的自衛権の見直しだとか、机上の、観念的な議論はつつしむべきだとは思う。まず、試されるのは、日本の「外交」なんだと思うが…。
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2006/10/10

北朝鮮の核実験をめぐって

 今日のテレビも新聞も、当然、この問題が中心です。そして、この問題は、外交のあり方、安全保障のあり方などにも広がらざるをえない問題です。自衛権の問題もふくめ、どんな議論が大事なんでしょうか。いろいろな議論に、しっかり耳を傾け、また、読んだりしたいと思います。
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教育再生会議発足

政府、教育再生会議を設置 座長にノーベル賞・野依氏(産経新聞)  政府は10日の閣議で、安倍晋三首相が最重要課題として掲げる公教育の再生を目指す「教育再生会議」の設置を決め、ノーベル化学賞受賞者で理化学研究所の野依良治理事長ら17人の会議メンバーを発表した。会議は学力向上や教員の資質向上を優先して審議し、来年3月には中間報告をまとめる方針だ。…
 政府は、教育再生会議の発足を、今日閣議決定しました。なぜ教育改革ではなく、教育再生なのかというのは、例の世耕さんが、理念ではなく、実際の教育政策をかえるためといった趣旨のことを『論座』でのべています。 再生会議のメンバーは、
【教育再生会議メンバー】(敬称略)  浅利慶太(劇団四季代表)▽池田守男(資生堂相談役)▽海老名香葉子(エッセイスト)▽小野元之(日本学術振興会理事長)▽陰山英男(立命館小副校長)▽葛西敬之(JR東海会長)▽門川大作(京都市教委教育長)▽川勝平太(国際日本文化研究センター教授)▽小谷実可子(スポーツコメンテーター)▽小宮山宏(東大総長)▽品川裕香(教育ジャーナリスト)▽白石真澄(東洋大教授)▽張富士夫(トヨタ自動車会長)▽中嶋嶺雄(国際教養大学長)▽野依良治(理化学研究所理事長)▽義家弘介(横浜市教委教育委員)▽渡辺美樹(ワタミ社長) 【教育再生会議担当室】(敬称略)  事務局長 山谷えり子(首相補佐官)▽室長 義家弘介▽室長代理 土居征夫(企業活力研究所理事長)▽副室長 山中伸一(前文部科学省私学部長)
 しかし、やろうとしていることはすでに、中教審などでも議論されていることです。ではなぜ教育再生会議かですね。よくわかりません。まあ、言えることは、官邸主導にしたいということ、その内容は、思ったほど保守的な国家主義ではなく、新自由主義的な政策を国家の手ですすべるということでしょうか。『中公』の下村の文章もそんなにはねたものではない? たぶん官邸が、教育に手をつっこむというのがポイントなのかもしれません。3月には、報告が出て、すぐに、通常国会で、いくつかの法案が出てきそうですね。忙しいなあ。 Banner_02人気blogランキングへ 励ましのクリックを

2006/10/09

安倍首相の中韓訪問そして北朝鮮の核実験

 民研教研に取材に行っているあいだに、いろいろな事件がおこっています。安倍さんの訪中。先日の国会論戦とあわせ、歴史認識にかかわる安倍首相の一連の発言をどう考えるか、もう少し、いろんな角度から見ていきたいです。
 そして、北朝鮮の核実験。東アジアと国際社会にとっても、重大な問題です。冷静に、しかし、しっかりと見つめ、考えなければならない日々が続きそうですね。
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昨日は、友人と飲みました

 昨日は、久しぶりに近所の友だちと飲みました(わが家で)。いつもの3家庭ですが、昨日は、男性陣は、別の用事等で、不参加。女性陣3人に私です。まあ40~50代はじめの働く女性と男性です。いろいろ重たいものを背負っているなあという感じです。頑張っている人、新しいことをしている人、悩んでいる人、そんな彼女たちと話をしていると、自分は何事も中途半端なんだなあと、思えてきます。だらだらと働いているだけかなあ。悩んでも悩みきれないしね。
 のんびりと、温泉にいって、話したりはなかなかできないですけど、ちょっとした時間に、話をするのは貴重ですね。自分らしさを大事にしてほしいですね。
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民主教育研究所の教育研究集会

20061008133212 昨日と今日は、明治大学を会場におこなわれた民研の教育研究集会にいってきました。
 一日目は、堀尾先生の講演と、佐貫さんの基調報告。そして、梅原利夫さん、田中昌弥さん、植田一夫さんによるシンポジウム。教育基本法改悪が重大な情勢になるもとで、教育内容についても、国家による介入が強まろうとしています。PISA型学力だとかいうことが声高に強調されるなかで、教育課程というものがどうなっていくのか。佐貫さんの話にも、梅原さんや田中さんの話にも、少し難しかったけど、学んだり、指摘をうけたことはたくさんありました。そして、小学校教員の植田さんです。今年の8月もふくめ、何回も彼の話は聞いていますが、この1カ月のあいだにも、またまた、新しい発見が、彼の教室のなかにあることにおどろかされます。
 今日は、開かれた学校づくりと教育委員会のあり方をテーマとした分科会に参加しました。研究者の発題のあと、東京、高知、そして埼玉の鶴ヶ島からの報告です。東京の強権的な教育行政がどうつくられていったのかを人事の面から考察。高知の「土佐の教育改革」の10年の総括です。そして、地域の自主的な改革をすすめた鶴ヶ島の教育委員会のとりくみです。開かれた学校づくりという切り口から、教育委員会のあり方をさぐるという問題意識から、学校の有り様や教師の役割なども議論になり、とても充実したものでした。
 休み時間などに、何人かの人と話をしました。久しぶりにあった人、初対面の人。こうしてたくさんの刺激をうけると、それはそれで、力がわいてきますよね。
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2006/10/07

9条の会の学習会

20061007145852 9条の会の事務局が主催しての学習会に行って来ました。都留文科大学の笠原十九司さんが、安倍新首相の歴史観の背景を、祖父の安保闘争のトラウマ、A級戦犯容疑のトラウマ、そして、本人の経歴と内閣の人脈などの角度から話されました。そして、小沢隆一さんが、安倍改憲発言の特徴と、とくに、集団的自衛権をめぐって、彼の発言が、どう集団的自衛権をめぐる内外の議論などからみて、危険であり、ねじまげたものであるのかを話されました。勉強になった3時間でした。
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クライマーズハイ

High03 NHKドラマのクライマーズハイを先週と今日、見ました。去年、ドラマになったときから見たかった作品です。原作本も、買ったけど、読めていませんでした。横山秀夫の作品は、『半落ち』だとか、『第三の時効』などは読みましたけど、この作品だとか、『出口のない海』は、買ったまま読めずにいます。どうも、最近、小説のたぐいは、読もうと思って買ったりしても、後回しにしてしまいます。だめですね。
 さて、ドラマは、「1985年8月12日、運命の日。群馬県の地方新聞記者・悠木和雅は魔の山とよばれる谷川岳の衝立岩の登頂に同僚と挑戦するはずだった。だがそれは突然絶たれる。もう一つの聖なる山がたちはだかったからだ・・・」。
 舞台は、ちょうど、私が、活字にかかわる仕事をはじめたころですね。もう20年以上たつんです。大きな壁、さまざまな死と生、無念、誇り…。そして希望でしょうか。励まされもし、後ろを押されもし、考えることも少なくないドラマでした。
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共同店って知ってました?

 沖縄タイムズのHPを見ていて、「共同店」というものをはじめて知りました。沖縄の歴史のなかでうまれて形態ですが、戦前のやんばる3村地域は、那覇との物資の交流を「山原船」と呼ばれる交易船に頼っていたのですが、その商品の取り扱いはほとんど外来の商人に握られていました。そのなかで、生活を防衛する方策として、集落単位による生産物の共同販売、日用品の共同購入を主な目的とした共同店を誕生させたというのです。その先導的役割を果たした奥共同店が100周年です。

 生活協同組合にも似ていますし、また、ある意味で前資本主義な共同社会の残滓という感じもします。しかし、こう経済のグローバル化がいわれるなかで、あたらめて地域のあり方を考えるうえで、興味のある材料ですね。もっと、知りたい気がします。
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2006/10/06

続く偽装請負の告発

 朝日の偽装請負告発は続きます。偽装出向なんて新しい言葉まで登場してきました。

日野自動車、1100人偽装出向 労働局指導で派遣に
 トラック製造大手の日野自動車が、実態は労働者派遣なのに出向契約を装う「偽装出向」で、人材会社から約1100人の労働者を自社工場に受け入れ、働かせていたことがわかった。東京労働局は職業安定法(労働者供給事業の禁止)に違反するとして指導。これを受けて日野は9月1日、すべての出向労働者を派遣に切り替えた。社会問題化している偽装請負と同様に、使用者責任をあいまいにしたまま、人員調整をしやすくする違法な手法がメーカーに広がっている実態が浮かび上がった。……

松下PDP側、請負会社へ大量出向「大阪労働局が示唆」
 松下電器産業の子会社「松下プラズマディスプレイ」が社員を請負会社に大量に出向させて「偽装請負」の違法性を回避しようとしたとみられる問題をめぐり、同社がこの方法について「大阪労働局に示唆され、同労働局の理解を得た上で実施した」と主張する書面を法廷に提出していたことがわかった。大阪労働局は現在、この出向の違法性の有無について「検討中」としている。
 松下プラズマディスプレイ(松下PDP)の茨木工場(大阪府茨木市)では昨年7月まで、正社員が請負業者の労働者を指揮命令する偽装請負を続けていた。しかし、大阪労働局に「労働者派遣法に違反する」と指摘され、請負契約を解消して派遣契約に切り替えた。派遣労働者は契約後1年たつと直接雇用を申し込まなければならなくなるなどの制約があった。……

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電車が……

 今日は、夜、某名誉教授にお誘いをうけ、食事。ところが帰りに、電車が、大雨でとまっていて、いまやっと家にたどり着きました。疲れた。
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2006/10/05

すすむ偽装請負にメス

 ここ数日の朝日新聞を読んでいると、偽装請負へのメスが大きく入ろうとしていることがわかります。どうやら厚生労働省は、一定の改善をすすめようとしているようです。朝日新聞のほうも、夏の松下プラズマディスプレイ以来の追及キャンペーンです。
 貴重な成果を、労働の規制緩和の本質まですすめていったもらいたいところですが、なかなか、そこまでは、でしょうか。

松下子会社、偽装請負で社員リストラ穴埋め(10月05日)
 松下電器産業の完全子会社「パナソニック半導体オプトデバイス」(鹿児島県日置市)が、請負大手「コラボレート」(大阪市)の労働者を、違法な雇用形態である「偽装請負」で今年3月まで働かせていたことが新たに分かった。リストラで大量に抜けた正社員の「穴埋め」を、未熟練な請負労働者で間に合わせようとしたことが、偽装請負を引き起こす要因になったという。
 コラボレートは、別件の偽装請負に絡んで3日に事業停止命令を受けている。デバイス社の工場をめぐっては今年3月、請負実態の報告を求めた大阪労働局に対し「特に問題ない」とする報告書を提出していた。この報告書が適正かどうかを調べるため、同労働局は近く実態調査に乗り出す方針だ。…

国交省で偽装請負か 地方事務所などを労働局が調査(10月04日)
 国土交通省の各地方整備局内の事務所と、職員を同事務所で働かせている同省所管の八つの公益法人に対し、厚生労働省の機関である各地の労働局が労働者派遣法と職業安定法違反の疑いで立ち入り調査に入っていることが分かった。労働局は、同事務所の一部の労務形態は偽装請負とみており、近く国交省や公益法人に是正指導をする方針だ。 …

コラボレートに事業停止命令 「偽装請負」で初(10月03日)
 厚生労働省大阪労働局は3日、製造請負大手の「コラボレート」(大阪市北区)に対し、労働者派遣法に基づく事業停止命令と事業改善命令を出した。大手メーカーなどとの請負契約を装って労働者を都合よく働かせる「偽装請負」に絡んだ事業停止命令は初めて。 …

 ルールなき現状をただす、政治の責任とともに、人間らしい労働の現場をつくる、運動のひろがりももとめられているのだと思いますね。

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2006/10/04

日中戦争~兵士は戦場で何を見たのか~

060813_b 8月に、「日中戦争~なぜ戦争は拡大したのか~」と題してNHKスペシャルで放送されたものが、35分ほど、時間枠を拡大して、この9月に「ハイビジョン特集「日中戦争~兵士は戦場で何を見たのか~」として、再編集され、放送されていました。友人に、録画をお願いしていたものをやっと、全編みることができました(1時間50分)。
 8月の、放送もなかなかのものでした。日中戦争はなぜ拡大したのだろうか・・・。番組ののポイントは、中国の蒋介石が、戦前からドイツ軍事顧問団によって軍を近代化し、最新兵器による軍備を進めていた。さらに戦争が始まると、国際社会の注目が集まる上海近辺に精鋭部隊を派遣。英米の経済制裁やソビエトの参戦によって戦局の好転をはかろうとしたのにたいし、日本政府は国際社会の批判を避けるため、不拡大方針を掲げたにも関わらず、なしくずし的に全面戦争に突入してしまった。その背景には、蒋介石政権を弱小と見て、「一撃で倒せる」と考えた日本軍の誤った状況認識があった。出先の軍を率いる司令官らは満州事変の経験から中国の力を過小評価し、独断で首都南京攻略へと進軍。日本政府もこれを追認してしまった。中国の真意と力を読み違えた日本。それは泥沼の日中戦争から太平洋戦争という破局をもたらした。という点を中心に、番組はつくられていました。
 ハイビジョンのほうは、待ち受けていたのは徹底抗戦の覚悟をした屈強な中国軍だった。次々と傷つき倒れていく日本兵。しかし日本の軍中央は甘い見通しから派兵を繰り返す。そして短期決戦を目指した日本の思惑とは裏腹に戦局は泥沼化していく。初公開の兵士の陣中日記や証言を中心に、局地的な衝突が全面戦争化していく過程を描いているのです。
 徹底抗戦にであった、日本軍は、恐怖と復讐心からより凶暴に中国に襲いかかっていく。番組後半の、南京事件の場面では、兵士たちの証言で、”虐殺”の実相が再現されていきます。
 この”虐殺”そのものは、当時の国際法の到達点からも、明らかな戦争犯罪です。そのようすが、当事者の口から再現されるだけに、迫力もあり、説得性もあります。最後の証言をおこなう、元兵士の勇気と、NHKのがんばりには拍手をおくりたいと思います。

 さて、皮相なのが、安倍さんの国会の答弁です。政府の立場の政治家の発言を、奇妙ないい回しで、分離させ、歴史の評価を避けています。しかし、歴史認識で問われているのは、こうした事実にたいする認識なのです。このような、首相の発言が、どうして国際的に通用するというのでしょうか。ただただ、日本がこれからアジアと世界で孤立していかないことを祈るばかりですね。
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2006/10/02

集団的自衛権の見直しとは

 とりあえずの私の10月のテーマは、集団的自衛権でしょうか。手はじめに、佐瀬昌盛『集団的自衛権』(PHP新書) を読んでいます。見直し派のわりあいとまとまった著作で、結構、おもしろいというか、こういう理屈なのかということがよくわかります。筒井若水『自衛権』(有斐閣) および『国連体制と自衛権』、最近仕事の変わった松竹さんの『集団的自衛権批判』や浅井基文さんの『集団的自衛権と日本国憲法』をパラパラと再学習しながら。古典的な横田喜三郎さんの『自衛権』は残念ながら、見あたりません。

 時事通信社が発行している『世界週報』の10月3日号に、安倍さんのインタビューがのっていて、そこにわりあいとまとまって、安倍さんの見直しの中身がのっています。
 ここで言っているのは、世界はかわった、冷戦構造が終わり、テロとのたたかいをしなければならないということを前提にして、世界の平和構築への貢献と武器技術の進歩を理由にして、見直すということです。具体的には、ミサイル防衛で、アメリカに向かうか日本に向かうかがわからないミサイルの情報をアメリカからもらって、アメリカに向かうかもしれないミサイルを打ち落とすことが集団的自衛権の行使にあたるのかと問い、近海で日本とアメリカの艦艇がいっしょにいるときに、米艦艇が攻撃されたときは、個別的自衛権の延長で攻撃できるが、近海はどこまでか。イージス艦の能力は地平線を超えているではないかと問うわけです。どうも、見直しというのは、国際的には集団的自衛権の行使と判断されていることを、際限なく個別的自衛権の行使の範囲を広げることによって網羅しようということなのでしょう。そして、イラクのような事態は国際的な警察行動と読み替えることも言っています。だれが警察行動と認定するのかはよくわかりませんが。そこには、もう専守防衛のかけらもないといえるでしょう。政治的な物言いではありますが、自衛権とは何なのか、武力の行使とは、交戦権の否認などについてまったく考慮しない、論理も何もないものの言い方ですね。少しおどろきました。

 しっかり、勉強したいと思います。
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2006/10/01

教育法学会公開シンポ

 教育法学会の教育基本法についての公開シンポジウムにいってきました。まあ、さんざん教育基本法については、議論したりしているので、新しい発見というものはそんなにあったわけではありませんが、貴重な資料が2,3。あと、改正案17条の教育振興基本計画に関する報告は、おもしろかったです。
 それでも、2,3の人と少し話をして、まあ目的は最低限達したかなあという感じでした。お疲れさま。
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