小沢イズム
民主党の小沢一郎代表が、書き下ろしたと言われる『小沢イズム』という本を読んだ。当初言われていた『日本改造計画』の改訂版が、来年の参議院選挙前まで、延期になったので、現在の小沢氏の政治姿勢がわかる本として、注目して読んだ。
一読しただけなので、まだ、かつての『日本改造計画』などとくらべてどうなのかという作業をしたわけではない。すこし、じっくり読みこなす必要があるだろう。
どうしても安倍晋三氏の『美しい国へ』とくらべたくなる。読んだ印象としては、小沢氏のほうが、論を立てようとしているという感想をもつ。まあ、小泉改革にたいして批判者であるわけだから、さもありなんだろうけど、ここのところは、小沢氏の特徴でもある。とくに、9条解釈や、安全保障の問題に氏の主張の特徴がよくあらわれている。彼は、外交でも、筋のとおした主張が必要だという。あらためて別の機会で論じたいとは思うが、彼の9条論については、90年代以降、それなり情勢の変化に対応した(アメリカ等の動向に対応したといってもいい)、一定の変化があるのだけれど、そのときに応じた論を立てようとしている。現在の主張は、国連のもとでの派兵は可能だという議論だ。
ただ、論を重視しているからといって、自民党の議論と大きくちがうのかといえば、そうではない。彼の議論は、論証を省いた前提がある。改革は必要だ、日米同盟が外交の中心だ、などなど。実は、政治の大枠は、論証抜きで、国民のコンセンサスがあるという前提に立っている。この立場は、実は、自民党のそれといっさい変わりはない。
したがって、彼の議論の帰結は、現在の自民党政治の枠内での、かっこつきの「改革」「外交」の競いあいに行き着かざるをえないという性格がある。自民党の総裁選が終われば、再び、二大政党の選択という視点でメディアは政治を論じる危険もある。われわれは、それを乗り越える政治論議を巻き起こさなければならない、そんなことを強く感じさせる本であった。
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