子どもにつたえる日本国憲法(変更)
洋さんのブログでこの本を知って、どうしょうかなあと、思っていたんですが、結局読みました。井上ひさしさんが、子どもに語りかける憲法の本です。
すてきな言葉のつまった、すてきな本だと思いました。わたしは、井上さんのはじめにの文章が気に入りました。「二度と武器では戦わない。――これは途方もない生き方ではないか。勇気のいる生き方ではないか」「なんと誇らしくて、いい気分なんだろう。この子どものときの誇らしくていい気分を、なんとかしていまの子どもたちにも分けてあげたいと思って、私はこの本をつくりました」と。
憲法には好きな条文があります。もちろん、この本で、現代文にされている、前文や9条。やさしく、気品にあふれた現代文は、背筋をピンとのばして、読みたいものです。そして、あと、わたしは、13条がすきです。個人の尊重です。差別という問題に関心があったわたしにとっては、大事な大事な条文です。
半面、この本を読んでも、考えることもあります。私たちが、改憲や教育基本法改悪を論じるとき、戦争責任ということをどう考えるか、どう伝えるかという問題です。実は、この井上さんの本(と言っても絵本ですが)には、かつての戦争の加害については具体的な内容としては出てきません。それは、それでいつの議論の仕方です(もちろん、この憲法が過去の反省のもとでつくられたということはのべらています。誤解のないように)。さきの国会でも教育基本法の議論のさいにも、この問題を意識的にどう語るのかは、よく考えなければいけないなあと、感じているところでもあるのです。
つまり、思想的には、戦争一般への批判ではなく、かつての戦争の日本(やドイツ)の犯罪への反省をもっときっちりふまえて、日本国憲法や教育基本法(そして、国連憲章や世界人権宣言)といったものを論じるべきではないのかと。少し、気になっている問題でもあります。
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» 15年戦争の戦争責任を冷静に考えてみる必要ありや [江戸摩呂日記 ~メディア千本ノック~]
日本経済新聞 2006年(平成18年)8月9日(水曜日)18面
井上ひさし「私を主語に自らけじめを 戦争責任の一端国民にもある」(聞き手 河野孝編集委員)
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「東京裁判は戦争責任を一部の人に転嫁したとゆーマイナス面がある-」と指摘した作家の井上ひさしはんの論説に... [続きを読む]
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