ルポ改憲潮流
斎藤貴男さんの新著が、これ。いつもながら、キーポイントになる人に果敢に取材して、本音を引き出してくる。その改憲勢力の本音をつなぎあわせると、こうなるのだ。つまりもっとも典型的な改憲のねらいがあざやかに、浮き彫りにされる。まず権力を憲法で縛るという立憲主義を覆す、特権的な支配層の、自分たちこそ国家だという思想と最後に、アメリカの世界戦略の一環としてすすむ日米の軍事一体化を中心に、新自由主義社会への「構造改革」と靖国をめぐる問題など、みごとに浮き彫りにする。もちろん、赤裸々な改憲勢力の本音だけで、政治が動くわけではない。対抗する運動や国民の意識の反映のなかで政治は動くものであり、その意味で、支配層も一枚岩ではない。が、彼らのねらいがここにあるのはまちがいではないだろう。
興味深かったのがマスコミへの取材。とくに読売と朝日の幹部への取材が、なぜ、メディアが、この憲法問題を、あたかも権力といったいとなって展開される結果になっているのかを解き明かしている。
改憲の動きには強い決意をもって向き合わなければならない。そういう思いを強くした1冊だった。
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