しょうけい館
しょうけい館ってご存じですか? 場所は、東京の九段下。九段下といえば靖国神社です。靖国神社の近くには、昭和館といって、国立で遺族会が委託をうけて運営する祈念館があるのを知っている人が多いと思います。その近くに、路地ではさまれたわかりにくい場所に、しょうけい館というのが今年、3月にオープンしました。同じような国立の施設で、傷痍軍人会が委託を受けて、運営しています。
ある歴史研究者に紹介されて今日、はじめて行ってみました。小さな祈念館ですが、音声案内も充実していてじっくりみると1時間以上かかります。あの戦争で、出征し、傷をおった兵隊の体験を追体験するような内容になっています。当時の軍隊の姿、過酷な戦場での体験などがかなりリアルにわかるようになっています。
もちろん、こういう種の国立の施設ですから、加害の面はまったく出てきませんし、軍隊以外の一般の人々の戦争被害などは、対象とはされていません。それはそれとして大きな問題などですが、過酷な当時の軍隊生活の実相が傷兵という側面でわかるような内容にはなっています。近くにある、遊就館の展示とは対照的なものになっているとも言うことができます。
日本のかつての軍隊は、白兵戦をその基本としていたため、軍隊は、かなり過酷なものでありました。このブログでも、先の戦争の戦死者の6割以上が餓死であったことは何度も書いていますが、こうした資料館で、その実相に対面すると、想像以上に、戦争の過酷さが伝わってきます。
日本人の意識として。厭戦というのは9条を支えてきたというのは、こういう場に来ると、ある意味正当だったとも痛感します。問題は、その後一歩すすめることができたかということです。加害への認識を深めることと、こうした兵士に過酷さをしいたものがなんであったのが、その責任がどこにあったのかをつきつめることはある意味で一体です。その作業こそが、私たちが歴史的に担わなければならない課題なんだ、ということを痛感した1時間余でした。
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