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2006/06/21

日本国憲法の多角的検証

20060403_01 このブログを読んでいる人なら、ご存じな人が多いだろうけど、伊藤塾の伊藤さんが運営する法学館憲法研究所という、「憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関」がある。私の師匠??の口の悪い憲法学者もここの研究員だ(笑い)。その法学館憲法研究所が最近刊行したのが、本書。
 HPには以下のような案内がある。

 当研究所が『日本国憲法の多角的検証 ~憲法「改正」の動向をふまえて』を刊行することになりました。まさに、憲法「改正」の動向をふまえ日本国憲法を多角的検証する内容となっています。日本国憲法の内容と役割の理論研究はいよいよ求められています。本書では当研究所の客員研究員をはじめとする憲法の理論研究者に執筆していただくとともに、政治学、経済学、社会学などの研究者の方々の論文も掲載されています。また、NGOのとりくみをふまえた憲法論や海外から見る日本の憲法「改正」問題などの論文も掲載されています。当研究所の伊藤真所長は憲法「改正」問題についての国民意識の状況についての論文を執筆しました。

 目次を紹介すると
第1部 日本国憲法の検証
 第1章 日本における立憲主義の状態 浦部 法穂
 第2章 「改憲政治」・二層の文脈 加茂 利男
  ーー「グローバル安保体制」の形成と「日本型政治」の終焉
 第3章 グローバル化のなかの日本経済と改憲の経済的基礎 二宮 厚美
 第4章 「成熟社会」と「政治」の喪失 貝沼 洵
第2部 日本国憲法へのアプローチの分析
 第1章 この国の「憲法感覚」を診る 水島 朝穂
 第2章 各政党の憲法観 上脇 博之
 第3章 経済界の憲法観 植村 勝慶
 第4章 中国の視座からみた憲法平和主義の行方 季 衛東
第3部 国際社会と日本国憲法
 第1章 二一世紀の国家及び国際社会の動向と日本国憲法 武者小路公秀
   ーー平和的生存権と「九条」の新しい意味
 第2章 国連憲章と日本国憲法 浦田 一郎
   ーー武力行使への関わりを中心として
 第3章 人間の安全保障と日本国憲法 大久保史郎
 第4章 世界平和と国際協力NGO 熊岡 路矢
 第5章 国際社会における法の支配と民主主義の確立 山内 敏弘
 第6章 憲法改定をめぐるドイツと日本 森 英樹
第4部 憲法意識調査からみた日本国憲法
 いまこそ憲法の教育・普及・啓発の本格展開を 伊藤  真
   ーー憲法意識調査(二〇〇五年七~八月)について

 改憲をめぐる動向を、その経済的、政治的、社会的背景から、また、政党や財界、近隣諸国の動向という接近の方向を変え、そして、世界の平和と民主主義の流れという視点など文字どおり多角的に分析する。改憲に反対するということ以外、その方法や見方はまるで違う立場から、論じられている。それだけに、日本国憲法の現代的な意義や、改憲の動向の矛盾や問題などが、いっそう浮き彫りになっているとも言える。結構、知的刺激に満ちた内容でもある。伊藤さんの論文については、後日、また、紹介したい。

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» 未来の平和憲法「日本国憲法2.0」のサイトです [日本国憲法2.0開発部 − 改憲か護憲か?]
 こんにちは、私ども民間の「日本国憲法2.0開発部」は情熱を込めて、未来の憲法「日本国憲法 2.0」を開発し、この2006年2月6日に発表致しました。  戦後現在まで、社会は大きな変化を遂げ、さまざまな事件が起こりました。テロだ、地球温暖化だ、社会保障の破綻だと、大問題だらけの社会になってしまいましたね。  憲法解釈が分かれて繰り返される裁判。  解釈改憲や国際条約の軽視など、憲法の主旨をないがしろにした立法・施策・判例の数々。  この国の�... [続きを読む]

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