憲法九条はなぜ制定されたか
古関彰一さんの手によるブックレット。短く、手軽に読めるものだが、貴重な問題を教えてくれている。9条は誰が発案したかは、論争があるが、最新の研究から、マッカーサー主導でつくられたとし、その事情をひもとく。大事なのは、9条の制定が日本が戦後国際社会に復帰していく、パスポートだという指摘だ。氏の友人の米人が、自民党の新憲法草案を読んで、「自民党案ではアジアが爆発しますよ」という指摘はなるほどと思う。
同時に、この9条が天皇制の維持と天皇の免責と対の関係にあったことは、戦後日本の1つの影を落とす。天皇の免責は占領軍と日本政府の合作であったことは、たくさんの指摘があるが、そうであるだけに、結局、日本の戦争責任は正面から十分に問われることはなかった。ただ、氏が言うよりも、80年代を通して日本国民の戦争責任意識はすすんだとは思うのだが、9条と戦争責任をめぐる意識のある種の「ゆらぎ」は、この歴史に根ざしていることは間違いないとも思う。
9条を守ること、9条を生かすこと、そのためにも、戦争を拒否し続けた国民の憲法意識に確信を持ちつつ、より豊かな憲法観を国民はもたなければならないことは、国民にとっての課題である。
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