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2006/04/27

《愛国心》のゆくえ

025919650000 サブタイトルに、「教育基本法改正という問題」とある。もう半年以上の前に出された本で、まだ読んでいなかったので、この機会に読んでいた。そもそもの、教育基本法の「改正」が正しいのかどうかという視点より、「改正」されたらどうなるのか。それが損か得なのかという視点で問題を設定しているのが何よりも特徴。気鋭の教育社会学者のこの問題に切り込んでいるだけに、十分に刺激に満ちあふれている。
 たとえば、この問題を論じるむずかしさ。一見、多数とは言えなくなっている、「改正」反対の声。どのようなもとで、それが生まれているのか。そして、「改正」されれば、学校・家庭・地域はどのような影響を受けるのか。などなど。
 「愛国心の何が悪い。なぜ言葉狩りをするのか」などというテレビキャスターの発言は、案外、人の心をとらえているのかもしれない。たしかに、強制はダメだ。国が心を支配するのは間違っているという主張は、正しいし、私も同じ考えだ。そのことを強く主張したい。が、同時に、「規範意識の崩れは心配だ」「若者の政治への無関心は問題」などという疑問にこたえなければならない。この本は、だからこそ、公共性のあり方を問い、「愛国心」の再定義を試みる。そして、強制の愛国心(それも偏狭だからこそ強制になる)はマイナスにしかならないこと。そして、強制によらない政治的教養の形成をめざす。
 いつも、この人の議論には驚かされる。『日本人のしつけは衰退したか』でも、『教育は何ができないか』も、『教育不信と教育依存の時代』もそうだった。議論の盲点というか、はっと驚く論点を提示してくれる。山場にさしかかる教育基本法をめぐるたたかい。決して平易とは言えないけど、攻勢的な議論をすすめていくうえでも、結構、学ぶところの多い一冊でした。
 

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コメント

愛国心だけが悪いことでは無いのは、だれでも分かっています。
でも愛国心を悪用する人間がいる事も知ることも、国を愛する以上に大切です。
子どもや若者の生活の乱れ、道徳の欠如、などを愛国心を盛り込む教育基本法を改正することで、解決できるほど、簡単な問題では無いと私は思ってなりません。
あきらかに、今回の愛国心は、教育現場への国旗掲揚と君が代斉唱の徹底、圧力のために文部科学省が導入したいだけだと、私は危機感を持っています。
それにしても、朝日と読売。この事に限らず、愛国心と自由教育、まっこう対立してますね。まあ、言論の自由で良いことだと思います。

 ほんと、腹立つこと、考えなきゃならないことが多すぎます。愛国心の強制は絶対に許せません。だからこそ、短期間ですが、たくさんの人を見方につけることができるような議論ができればなあなって、いろいろ思い悩む次第です。

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