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2006/04/30

バルラハ展

Barlach 4月はやっと2度目。4週間ぶりのお休みだったので、2男と美術展のはしごをしてきました。先日、2男をさそったら、行くというもので。
 まず最初は、エルンスト・バルラハ展です。これまで、そんなにこの人の作品を見ていたわけではありません。ケーテ・コルヴィッツを通じてというのが正直なところでしょうか。ドイツ表現主義といっても、さまざまで、あとで出てくるカンデンスキーなどとは少し違いますしね。日本の最初のバルラハの回顧展は、十分堪能できるものでした。
 労働など日常の生活を通じて人間の本質に迫ろうとした青年時代、やがて、抑圧された困難な人々を表現することに向かう。宗教的というかあくまでも倫理的に人間のあり方に迫ろうという姿。そして戦争、熱狂から反戦へと向かった彼の作品は、最終的にはナチの迫害にあい、非業の死を遂げるわけですが。シンプルな曲線のなかに、人間の普遍性を見つめるというのは、あまり的を射た表現ではないのでしょうが、中盤の作品は、具体的に説得力があります。後期の作品はただただ、心に迫ってくるものがありますが、解釈は私にはむずかしくも思えました。作品と向かう充実した一時でもありましたが。
Pic01 さて、遅めの昼ご飯を食べ、はじめての六本木ヒルズへ。ここは私のような人間が来るところではないですね(笑い)。53Fにある、森美術館へ。東京ベルリン、ベルリン東京展という、19世紀から現代までのドイツと日本の文化交流をテーマにした展覧会です。ここでも、目に付くのは、ドイツ表現主義。おなじみのキルヒナーやカンデンスキーの作品に対応するのが、日本のマルチ天才、村山知義の作品。当時の、築地小劇場の舞台美術の模型まであって興味はつきません。柳瀬正夢による『無産者新聞』のポスターまでありました。ただ、2つの美術展をはしごすると、身体も、頭も、もうくたくたで、最後はグロッキーでした。とくに戦後の美術は、本当は、知識にうらずけられた解釈というものが必要だと思っているのですが、その知識が十分追いつかないというのが正直な実感です。ただ、この20世紀のドイツと日本というテーマは、ある面で同じ種類の歴史的体験をした国だけに、もっと深められてもいいような感想ももちました。そういう刺激に満ちたものであったことはまちがいありません。
 そして、夜、つれ合いと合流して、1週間強の遅れで2男の誕生会。という一日でした。

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