姜尚中の政治学入門
姜尚中さんは、言うまでもなく、気になるオピニオンの1人です。ナショナリズムの問題もふくめ、その鋭い議論は、私にとってもとても刺激をうけてきました。
さて、その姜尚中さんの新著がこの新書ですが、あいかわらず十分読みごたえはあります。
入門書ですが、政治学の理論書という面ももちます。ナチズムをはじめ、政治権力の暴走に、思想家たちはどうむきあってきたのか。学ぶべきことはたくさんあるなあと、とても刺激にもなりました。
ただ、理論の面にもふれたものですから、どうしても違和感をもらざるをえない点もあります。たとえば、現在において天皇制がどのような政治の面でのポイントになっているか、なども私の理解とはちがいます。ナショナリズムの形成のなかでのひとつの装置ではあることは同じですが。
歴史認識などについても、ちがうかなあ。歴史の相対化ということにたいする理解がちがうのです。ドグマが大きな力をもった時代のあとには、認識の相対化が必要なことは事実です。が、まったく基軸もなく相対化するのはどうでしょうか。その結果、姜さんのもちあじであるリアリズムが、なんとなく観念的なものになっていると思えますが。このあたりはアジアの問題のとりあげかたにもあらわれています。
日本のいまを考えるとき、戦後の総括にもどって考えるべきだという指摘は同感です。
姜尚中さんとは2度ほど、あいさつだけ(一言二言の会話)をかわしたことがある程度です。これからも注目はしていた人ですよね。
« 荒川静香金メダル | トップページ | 体調は最悪 »
「読書」カテゴリの記事
- 連鎖する貧困(2018.04.11)
- 平成の天皇制とは何か――制度と個人のはざまで(2018.03.18)
- ペリリュー 楽園のゲルニカ 1~3(2018.02.02)
- これからの日本、これからの教育(2018.01.19)
- 日本軍兵士―アジア・太平洋戦争の現実(2018.01.18)
「政治」カテゴリの記事
- 憲法と日本人 ~1949-64 知られざる攻防~(2018.05.03)
- 全国憲法研究会「憲法記念講演会」(2018.05.03)
- 安倍内閣支持、低迷31% 不支持52% 朝日世論調査/安倍晋三首相の説明「納得できず」79% 加計・柳瀬唯夫氏「喚問を」66%、内閣支持37%に下落 共同通信世論調査(2018.04.16)
- BS1スペシャル「ブレイブ 勇敢なる者“えん罪弁護士”完全版」(2018.04.16)
- 天皇の身体と皇位継承-歴史から考える-(2018.04.15)
« 荒川静香金メダル | トップページ | 体調は最悪 »
コメント