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2006/02/03

白バラは散らず

08051881 少し、白バラづくなかで、その古典的名著である、『白バラは散らず―ドイツの良心ショル兄妹』を読みました。兄妹の姉であるインゲ・ショルによる伝記です。
 大きな感想としては、どうしても日本との違いを感じます。ドイツでも日本でも共産主義者による抵抗は存在しました。が、なぜ、普通の学生たちが命を張った抵抗がくりひろげられたのか。日本でも、清沢洌や渡辺一夫など、決して天皇制権力に精神的には屈服しないような人々はいたのですが、ドイツの白バラとは質的にはちがいます。そこには、精神の自由さをもとめる、幅広い教養というものが、あるていどの層の人々に共有されていたということがあるように思えてなりません。そして、そうした教養を支えるような文化やその物質的条件というものがドイツにはあったのでしょうか?
 この本に紹介されている、白バラの1人、フーバー教授の陳述は心残りました。
 その一節から

大反逆の審判も、わたしから大学教授の尊厳と、
世界の国家に対する見解を堂々と勇気をもって公言する
人間の尊厳とを奪うことはできない。
厳しい歴史の流れは、
わたしの行動と目的の正しさを証明してくれると思う。

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コメント

 はじめまして。
 
 読書の傾向(と言っても僕の場合は興味を惹かれる本、と言ったほうが妥当なのですが)が近いので嬉しく思い投稿いたします。

「白バラ」は北杜夫『夜と霧の隅で』にある人の追憶として出てきたことで最初に出会いました。それから山下公子『ミュンヒェンの白いバラ』を読みました。十年以上前の二十歳前後のことです。
 そのときの自分の尺度でははかりきれないほど人間を信じ続ける人たちにその本の中で出会い敬意と憧れをもち「この人たちを支えていたのはなんだったんだろう」と感じたことをおぼえています。
 YOUさんの文章に接して懐かしい記憶がよみがえってきました。

 それではまた。
 
 

 コメントありがとうございます。北杜夫の小説に出てくるのは知りませんでした。いくつか本を読んでいて、「白バラ」については、つきない興味が生まれます。同時に、ナチスという事実にどう向き合うのかという点での、ドイツなどの知識人の思想的歩みについても、学ぶべきことが多いなあなんて、最近、あらためて思ったりもします。

はじめまして。
浅尾大輔さんのブログから、いろいろ経てここにたどりつきました。
ドイツと日本とのちがいには、共産党がそれなりの組織をもっていたことが、何かしら影響していたのかもしれません。KPに自由な選挙で投票していた人が、NSDAP支配下ですべて収容所に入れられたわけでもないでしょうから、そうした記憶が、社会のそこに眠っていたのかもしれません。
それに、ヒトラーの政権獲得から10年しかたっていないのだから、記憶はある意味鮮明だったのかもしれません。
それに、収容所のなかでも組織をつくっていたドイツの人たち(『裸で狼の群のなかに』という小説では、ブーヘンヴァルトの中にも組織が存在していたと書かれています)を可能にした条件もあるのでしょう。
これからも、拝見させてください。

 コメントありがとうございます。ドイツのことは、今後の部今日していきたいと思います。戦後は国際関係、国際環境、そしてソ連との関係というのは大きな側面だとは感じていますが。
 『裸で狼の群のなかに』は、若い頃読みましたね。懐かしいです。
 今後ともよろしくお願いします。

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