戦後60年を問い直す
『世界』がおこなった2度のシンポジウムがおさめられたのがこの1冊。一般の聴衆に語ったものなので、わかりやすい内容になっています。全体として、共感できる内容で、前半の坂本義和先生の、戦後の原点と憲法を活かす立場の問題提起も刺激的ですが、後半の格差社会についての議論がおもしろかったです。
最近の政治や社会についての問題を考えるとき、気持ちが悪いと思うことが多かったのですが、その理由を解き明かしてくれるのが、この1冊という気がします。「人間が大切にされる社会」という問題意識をより深めてくれるのです。貧困化を装置とするアメリカ型の経済、グローバリゼーションの進行の中で、日本で温存される、特権的な政治。それは財界と官僚が一体となる政治。現在の日本を覆う競争原理の正体がどこにあるのか、結果、人間を差別するのではなく「排除する」社会になっているという告発。などなどです。
「自由とはなにか」という刺激的な問いかけがあります。マルクス主義の陣営でも、マルクスの言う「自由の国」の問い直しがおこなわれているのですが、ここでの「自由」ということの問い直しの提起は、少し通ずるものがあるような気もします。そう考えれば、対峙していく方向も明確なんだと思います。
« 東京裁判 | トップページ | 新聞を読んで疑問に思ったこと »
「読書」カテゴリの記事
- 「歴史抹殺の態度を変えさせなければ」8月31日に都内で関東大震災朝鮮人・中国人虐殺犠牲者の追悼大会(2024.08.25)
- 木原稔防衛相、終戦の日に靖国神社に参拝 韓国「時代錯誤的」と反発 :「ニライカナイには行けない」(2024.08.15)
- 9月号ができています(2024.08.12)
- 『沖縄県知事 島田叡と沖縄戦』と「島守の塔」(2024.07.28)
- 保護者「性急過ぎる」 那須と栃木の寄宿舎、年度末閉舎 方針に戸惑い(2024.07.11)
「政治」カテゴリの記事
- 赤旗日曜版にJCJ大賞 自民派閥の政治資金不記載(2024.09.09)
- 河野大臣「自由に働き方を決められる制度が大事」 希望者には“勤務時間の上限廃止”も 働き方の規制緩和を表明(2024.09.05)
- 沖縄県の原告適格性、二審でも認めず 県は上告を検討 高裁那覇支部 新基地建設を巡る県と国の14訴訟で最後の係争案件 玉城デニー知事「残念」(2024.09.03)
- ほんとに、総選挙はいつになるのか(2024.09.02)
- 小1の不登校が2年で倍増 「幼・保・小」の連携で対応(2024.09.01)
「経済」カテゴリの記事
- 赤旗日曜版にJCJ大賞 自民派閥の政治資金不記載(2024.09.09)
- 河野大臣「自由に働き方を決められる制度が大事」 希望者には“勤務時間の上限廃止”も 働き方の規制緩和を表明(2024.09.05)
- 小1の不登校が2年で倍増 「幼・保・小」の連携で対応(2024.09.01)
- 私の問題から、みんなの問題に(2024.08.28)
- 最前線 カマラ・ハリス氏の40分 最重要の見せ場で訴えた五つのポイント(2024.08.23)
コメント