戦後60年を問い直す
『世界』がおこなった2度のシンポジウムがおさめられたのがこの1冊。一般の聴衆に語ったものなので、わかりやすい内容になっています。全体として、共感できる内容で、前半の坂本義和先生の、戦後の原点と憲法を活かす立場の問題提起も刺激的ですが、後半の格差社会についての議論がおもしろかったです。
最近の政治や社会についての問題を考えるとき、気持ちが悪いと思うことが多かったのですが、その理由を解き明かしてくれるのが、この1冊という気がします。「人間が大切にされる社会」という問題意識をより深めてくれるのです。貧困化を装置とするアメリカ型の経済、グローバリゼーションの進行の中で、日本で温存される、特権的な政治。それは財界と官僚が一体となる政治。現在の日本を覆う競争原理の正体がどこにあるのか、結果、人間を差別するのではなく「排除する」社会になっているという告発。などなどです。
「自由とはなにか」という刺激的な問いかけがあります。マルクス主義の陣営でも、マルクスの言う「自由の国」の問い直しがおこなわれているのですが、ここでの「自由」ということの問い直しの提起は、少し通ずるものがあるような気もします。そう考えれば、対峙していく方向も明確なんだと思います。
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