« 首相の視線 | トップページ | 地元の9条の会 »

2006/01/20

経済格差否定論を考える

 今日の「朝日」で気になった記事につぎのようなものがあります。

 社会問題化している所得格差の拡大を示す指標とされるジニ係数について、内閣府は一九日、「数値上の上昇は見かけ上の問題だ」として、格差拡大論を否定する見解を公表した。

 昨日発表された月例経済報告に付された資料に、この見解が掲載されています。昨日、紹介した小泉首相の発言は、こういった議論をふまえてなんだろうなと想像することができます。
 それは、「所得分配の不平等さから貧富の差の大きさを示すジニ係数について、内閣府は、厚生労働省の所得再分配調査や総務省の家計調査などをもとに分析。係数は上昇傾向だが、元来所得格差が大きい高年齢世帯や、核家族化の進行で所得の少ない単身者世帯が増えたのが原因で、所得格差の拡大は見せかけ上のものだ」という主張です。
 この主張は、特段、目新しいものではありません。昨年、ベストセラーになった、大竹文雄の『日本の不平等
格差社会の幻想と未来』などの議論がそれです。
 この議論などを読んで感じることがあります。1つは、統計のもつむずかしさです。格差や不平等は、統計のとり方で、変わるという問題です。
 朝日の記事には、格差拡大問題を論じている橘木俊詔京都大教授のコメントが紹介されています。

 家族の人数を考慮して調整した所得を使い、核家族化の影響を除外しているOECDのジニ係数上昇データを、内閣府はどう説明するのだろうか。また高齢化が原因というが、高齢の貧困者が増えている問題をどうするつもりなのかと問いたい。

 統計に強くなる。事実を、正確に全面的に捕まえるという作業はどうしても必要です。
 もう1つは、かくされているものをどう考えるかです。たとえば、月例報告のそれには、大竹氏が指摘している、格差が広がっていなくても、格差感の拡大の背景にあるものとして、失業の拡大やホームレスの増大などが隠されているということです。当然、生活保護の問題などにはふれられていません。簡単に、若もののフリーターの増大が指摘され、将来の格差拡大を予想させる問題として指摘されているだけです。

|

« 首相の視線 | トップページ | 地元の9条の会 »

コメント

統計に強くなる必要性はわたしも実感しています。語られていることではなく何が語られていないかも大事ですし。しかしこの自殺者が3万人を超えてから何年になるか,そんなことを抜きにして,「変わらない」とか「よくなった」というのはどうにかしています。
経済と政治の関わり合いをもっと分けて考えていかないとと思っているところです。夢を描けない生活は現にあるのですから。

投稿: KATEK | 2006/01/21 18:25

私も、統計の取り方について強くなる必要性は感じていました。私は通常、新聞に出た数字で物をしゃべるのですが、小泉首相の今度のようなことがあると、それだけでは通用しない局面も出てしまいます。肝心なのは、数字よりも実態だと思うので、統計だけで勝負をするのは違うと思いつつ、統計のマジックに引っかからないための力量は持ちたいなと思っていました。

投稿: | 2006/01/21 21:34

 KATEKさんのブログを読んで、KATEKさんの言おうとしていることが、何となくわかりました。その意味ではおっしゃるとおりだと思います。展開されている経済現象は、そんなに単純ではありませんから。そして、実際におこっている問題には、私も強く、怒りをもちます。
 ただ、ここで言う統計というのは、あくまで政治的なものです。経済現象を正確に反映したものではなく、都合のいい面を切り取ったに過ぎません。だからこそ、私たちは、その論理をうちやぶるような論理をもたないと多数の人を納得されることはできません。大竹さんの本などはたくさんの人の心をとらえていることも否定できないのですから。実態への実感をもった怒りと、そして論理、それを両輪のようにもつことができればなんて考えたりもしています。
 さて、さっそく『グローバリゼーションを擁護する』を手に入れました。読みたい本が多くって、たいへんなんですが、できるだけ早く読んでみたいとは思っています。

投稿: YOU→KATEK、洋 | 2006/01/21 23:01

改正道路交通法が施行され、民間に委託された「駐車監視員」による
駐車違反の取り締まりが始まりました。

 私が言う経済格差というのは、駐車場を設置出来たり、又は既に設置
してある大手には影響が少なく、設置出来なかったり、配送を業務に
しなければならないが2人の運転手を確保出来ない、小規模の業者に
とって深刻であると言うことです。

 この法律、郵便配達は許可されてる様ですよ。

配達に駐車が必要なのは分かっていて、この不平等。

 悪法とまでは言わないが、問題が多い。

 消費税5%の一律化の問題でも書きましたが、もう少しキメの細かい
法律を作ることは出来ないものでしょうか?

 それにしても日本人ってオトナシイ。
配送関係の皆さん理不尽な取り締まりだと思っても、暴力などは
しないで下さいよ。
 得すること何も無いですから。

 正論を持ってる人は沢山いるはずですから。

投稿: kyousi | 2006/06/28 05:41

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/59689/8252367

この記事へのトラックバック一覧です: 経済格差否定論を考える:

» 経済格差の拡大は本当に「誤解」なのか? [私的スクラップ帳]
 19日に開かれた閣僚会議のなかで、内閣府から「統計データからは(経済格差の拡大を)確認できない」とする資料が配布されたという(経済格差「確認できない」内閣府、関係閣僚会議で(1/19 共同通信))。これに気をよくしたのだろうか、総務相の竹中大臣は「小さな政府であれば格差が拡大するとは思わない」と語り、安倍官房長官や麻生外務大臣、中馬弘毅行革担当相なども次々と「格差拡大論」に疑問を投げかけるコメントを出している(小さな政府で格差拡大せず 安倍、竹中氏ら反論(1/20 産経新聞))。そしてついに小泉総... [続きを読む]

受信: 2006/01/21 08:19

« 首相の視線 | トップページ | 地元の9条の会 »