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2005/12/31

兵士の死に方を考えたい

 いくつかのブロクで、「男たちの大和」を評価する記述がエントリーされています。私、個人のこの映画への感想は、一度、書かせて頂きました。最近、三四郎日記というブログを読んで、もう一度この映画について、論じたくなりました。私は、どうしてもこの映画は、ほめてはいけないと思うのです。

 実は、26日に、歴教協の関東ブロックの研究集会に行ってきました。敬愛する吉田裕さんの講演を聴くためにです。吉田さんの講演は、いつもの戦後の戦争認識にについての変遷と、最近の特徴を、的確に指摘されたものでした。そこで、印象に残ったのは、加害と被害の重層的な関係を認識すること、そのためにも「死に方の実学」というのが、大事だと言うものです。つまり、戦争の加害をしっかり認識するためにも、日本の兵士たちがどのように死んだのかの事実を直視すべきかと。これは、藤原彰先生の、日本の戦死者の過半が餓死だったという研究や内海愛子さんの遺骨放置の問題ともつながります。

 さて、ここから私の言いたいことです。本当に、この映画は真実を描いているのかです。たしかに、佐藤純弥さんの戦争への思いは伝わってこなくはありません。でも、考えたい点が3つあるのです。
 1つは、なぜ、この大和の特攻に至る経過を省くのかです。悲劇につらなる日本の戦争の事実があります。この戦争の事実をどうしてこの映画はあえて、簡単な経過の描写だけで、捨て去るのかという点です。
 2つは、なぜ男たちはたたかったのか? この点で、天皇の存在をまったく捨て去っているという点です。私も何人かの戦争を体験された方の話をお聞きしましたが、やはり、戦争の目的は天皇のための戦争です。
 3つめに、だから、「愛するためにたたかった」というのは、ほんとうに真実なのかです。この「愛するためにたたかった」という「神話」は、この戦争で、兵士たちに悲劇の死を強いたものを知るという思考を停止させるそんな役割をはたさないのかという点です。これは、石原慎太郎の議論(かつて書きました)に通じるものとしか思えません。

 たしかに、この映画は、戦争の悲劇を描いています。そういう点では、批判されるべきものではないのかもしれません。が、決して、ほめてはいけない。残念ながら、この映画の作成にかかわっては、監督の思いを超えて、さまざまな政治的な思惑もあったように聞いています。少なくとも、私たちが、おこなわなければならないことは、この映画をステップに、兵士たちの死の真実を、いま改めて考えることだと思うのです。

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『男たちのYAMATO』を観ました。戦後60年を過ぎ、今なお語り継がれている戦艦大和についての実話に基づいた映画です。男社会であったであろう戦争時代。お国を守るために必死になって戦った日本軍。今、世間では「憲法改正」で9条問題が騒がれていますが、「戦争を経験し...... [続きを読む]

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