トモダチニナルタメニ
帯には「フツーの日本の若者が戦争しか知らない子どもたちに出会って――」とある。本当に、普通の若者の、たんなるアフガニスタン・リポートでない体験記だ。ちなみに出版社のHPには以下の紹介がある。
大学を卒業してすぐの若者が、ひょんなことから米軍の報復攻撃を受けたアフガニスタンへ。死と喪失が当たり前の国で出会った子どもたちの笑顔に、自分自身と日本という国を見つめ直させられた。アフガニスタンを支援しつつ、人間が大切にされる社会へ、地域で表現活動にとりくむ生き方を語る。
普通の人間より、少し、若ものと長く接し、若ものを対象に仕事をしている人間にとって、最近の若ものバッシングはどうも納得はできない。若ものたちのあいだには大江健三郎が「新しい人」と読んだような若ものたちが確実に生まれている。あえて少し変わったこんな本をつくった編集者の気持ちが伝わってくる。
若ものは、なんとまじめ、そして勇気あることか。と思うことが少なくない。この本の主人公のような若ものは、私のまわりにもたくさんいる。生きづらく、そして、命の問題を正面から問われるような現実を前にして、正直、少なくない若ものたちは誠実である。いつも勇気があるなあ感心してしまう。それは、自分のどうしょうもない息子を見ていてもそう思うことがあるのだ。勇気の発揮できない、私たち大人にとっては、切ない1冊である。
アフガニスタンの状態が厳しい。よんでいて、思わず「亀も空を飛ぶ」というイラクの映画を思い出し、凍りついてしまう。でも、人間として大切にされない社会に生きている私たちにはしなければいけないことはたくさんある。
アフガニスタンでの経験をとおして、この若ものがたどりついた生きる意味がしゃれている。そう「トモダチニナルタメニ」である。
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