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2005/11/11

財界と日本の政治

 先日の『財界とは何か』の感想の続きをかねて、現在の財界をどう見るかについて書いておく。
 この本を読んで、学ばされたのは、財界の政治支配を考えるとき、従来の図式にとらわれたり、思い込みで見ていくのではなく、実態をありのまま見るということが大事だということ。先日もふれたけど、政官財の癒着だと、行政指導だとか、族議員だとかいうイメージで語られるけど、財界にとってはすべて政治が介入して得なわけではない。そういうときと、そうでないときがあるということ。財界は必要なときに政治の介入を求め、必要なときに「自由」を主張する。たしかに、「構造改革」の経過を見てもそのことはよくわかる。

 いま、財界にとっても転機の時期にさしかかっているんだろう。外資を中心とした御手洗経団連が生まれ、同友会は、米系企業のIBMの北城体制だ。明らかに、財界の流れはアメリカ資本との一体化ではないのか。そういう文脈の中で、「構造改革」や「改憲」を読んでいかないといけないと思う。

 たとえば、改憲の動きの中で、私がいちばん読み違えたのが日商の動き。中間報告の段階では「集団的自衛権」には消極的だったが、それが夏の最終報告では逆転した。そうならないと予測していたことは、以前に書いたことがある。それだけ、財界がこの問題に足並みをそろえることを意識したんだと思う。そこには、アメリカと一体化する財界の姿を見て取れるのではないか?

 この感想は、本の感想を離れ、現実政治のなかで、財界をどう見ていくかの問題意識を書いたものだけど、たとえば「構造改革」にしても、そう財界は理念的でない(同友会は多少そういう傾向はあるかもしれないが)。きわめて現実的に、財界にとって何が利益かで舵取りをしようとしているところはよく見る必要があるんだと思う。

 ちなみのこの本の著者の、博士論文について、大学のHPに掲載されている。興味ある方はぜひどうぞ。

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