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2005/11/15

男たちの大和

 男たちの大和のマスコミ試写に行ってきました。特攻をテーマにした映画なので、昨今の特攻美化の風潮のなかで、どのようにつくられるのかと。一方で、佐藤純弥監督などは、戦争はしてはいけないと言うような主旨の発言をしておられたので、どんな仕上がりになっているのか、ちょっと注目していました。見た感想は……。

 まだ、試写会もはじまったばかりですので、あまり内容にはふれませんが。3つぐらいの感想をもちました。

 大きく、戦争を美化するような内容でつくられているわけではありません。むしろ、戦争のむなしさや哀れさなどがかなり具体的に描かれています。「死んではいけない」というメッセージもあります。主人公が烹炊(ほうすい)所(食堂)の班長という、直接、戦闘にかかわらない人物であるのにもそれがあらわれているんだろうと思います。もう1人の主役も、軍隊内のリンチなどには批判的であったり、冷静で、合理的な判断をする士官なども登場させ、特攻は、日本に誤りにきづかさせるために死にに行くなどと言わせたりするのです。

 2つめには、まったく歴史的背景は捨て去られています。冒頭簡単に、アメリカとの戦争に踏み切り、南方に戦線を拡大し占領したが、アメリカの反撃で追いつめられるということがのべられるだけで、この戦争の目的な実相などにはほとんどふれられていません。もちろん、この戦争が正義の戦争だったという描き方もありません。むしろ、無謀な戦争だったということは伝わってはきます。

 3つめ。それだけに、兵士たちの純粋さだけが強調されることになっています。そんなに強くではありませんが、漠然と、家族や故郷を守る信条が出されています。どちらかと言えば、友情とか信頼とか、そんなことが強調されているという感じをうけます。主人公の下士官たちは少年兵の命を守ろうとしたりします。
 そこで思うことは、それが真実を語っているのかということと。もう1つは、この純粋さの強調こそ、特攻美化の最大の特徴でもあるんだと言うことです。

 この映画単独だけでは、なかなか評価がむずかしいとは思います。が、この純粋さの強調が、ある文脈のなかにおかれたときに、危険性をよく見ておく必要があります。具体的な歴史の事実のなかで、ものごとは語られなければならないと思うのです。
 

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コメント

 はじめまして。
 私も、同じような理由から、この映画については気になっていました。主演:反町隆史も、モチ気になる要因でありますが)。
 大和については、「きけ、わだつみの声」だったか、そのような本の中に、乗組員の中で「こんな意味のない戦争で命を落とす必要があるのか」ということから取っ組み合いの喧嘩になり、上官が「こんな戦争を終わらせるために、俺達は死ななければならないのだ」と言って止めた、という逸話が載っていました。
 確かに、戦力になる青年が死に絶えれば戦争は終わるわけで、そうまでならなければ気がつかないバカが権力を握っていたのだなぁ・・・、としみじみ感じました。
 「言わせたりした」特攻のセリフは、この逸話が生かされたのだと思います。
 どうせ美化映画なんだろうと思っていましたが、この記事を見て、ほっとしました。
 

投稿: Celia | 2005/11/18 14:42

 うーん。微妙なんです。もちろん、映画のなかで、反町くんは、ぜんぜん嫌じゃなかったですよ。たしかに、映画全体は、軍国主義は賛美はしないのです。が、特攻そのものの美化にはつながっていることは否定できないです。
 石原慎太郎さんが来年、「君のためのぼくは死ぬ」だったかな、特攻の映画をつくります。そこまでいやらしくはないのですが、論理として、歴史の事実を捨て去って、ただ若者の純粋さを強調するのは。この映画も共通しているのです。
 反町くんのパンフでのコメントもそうなんですが、ほんとうに微妙です。そして、まわりはそれを、――これはパンフにあらわれているのですが――自分たちの都合のいいように活用するのでしょうが。美化につながらせないような議論が必要なんだと思います。

投稿: YOU→Celia | 2005/11/19 00:48

 はじめまして。
 このブログを書いておられる方は、ずいぶんと幸せな方だなぁ。という感じでしょうか。この「男たちの大和」の記事しか目を通す気になれませんでした。
 なんというか、かつての日教組の反日教育の残滓が垣間見られる内容の記述であるな、という感想しか出てこないですね。
 純粋に家族や自分の大切な人を守ろうとして、戦場へ向かっていった人間のありのままを描くと、「純粋さの強調であり、特攻美化だ」と言うのであれば、家族や自分の大切な人を守りたいという、人の最低限の願いすらも否定することになるのではないかぁ。と。ならば一体、将兵たちは、何を思って戦えばいいんでしょうか?
 太平洋戦争は無謀な戦争、作戦・戦術的な面ではその通りですが、「ならば、当時の日本には、他にどんな道があったのか。」ということでしょう。またそれは、日露戦争においても同じことです。当時の日本という国に、他にどんな選択肢があったのかな、と思います。
 「太平洋戦争は日本の侵略戦争だったんだ、特攻美化は危険なんだ、そして、当時の若者の純粋さを描くのは特攻美化に繋がるんだ」では、正直、東京裁判史観に基づく日教組史観から見た歴史でしかなく、正に偏った意見でしかないのでしょうか?

投稿: saya | 2005/11/27 01:33

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