米軍再編―日米「秘密交渉」で何があったか
講談社現代新書から出された『米軍再編―日米「秘密交渉」で何があったか』という本を読みました。共同新聞政治部の方が書かれた本です。米軍再編をめぐる日米の交渉の過程を丹念に追いかけ、整理をしていて、この問題の全容がそれなりによく分かるように書かれています。
最近の大手新聞社の政治部の方の書かれているものを読むと、精力的な取材によるおもしろさは感じますが、歴史的な視野が弱く、ものごとの本質に迫る批判力に欠けるという印象をどうしてももってしまいます。この本にも、それはそれで、同様の物足りなさを感じてはしまいます。
が、正直、新聞では充分書かれていないような、この問題が出発点からのアメリカによる日米同盟の強化、基地機能の強化にそのねらいがあることはよく分かります。アメリカの基地再編の要求の最大のポイントが座間へのUEXの配備という、機動的な軍の司令部の配備にあることなども。
著者は、明確な国家ビジョンをもたない日本政府は、アメリカの要求に場当たり的に対応するだけ(つまり結果的は付き従うだけ)であるとのべています。著者の言うとおり、在日米軍基地は60年前の占領の残滓にほかなりません。であるならば、もう一度、この基地の存在する意味をその本質まで深めて考え直すときではないのでしょうか。そんなことを考えながら読んだ1冊でした。
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