傍観者からの手紙
少し、目前の仕事の課題から離れて、読書を楽しむ時間ももちたいものです。ここんところ、昨日紹介の『20世紀ドイツ史』や、今日紹介する『傍観者からの手紙』などを、電車のなかや、夜、少しのんびりしながら読んだりしています。後者は、日曜の朝日の書評を読んで、またまた思わず買ってしまいました。
著者は朝日のヨーロッパ総局長。傍観者というのは、著者が、現実に進行している、9・11以降の事態にたいして、当事者から離れた、冷静な目で、見ていこうという思いがあらわれているのでしょう。こうした、著者の姿勢に対し(この著作に対し)、「サロン」とも揶揄される、「大朝日」の特権的な立場をしめしていると嫌い人もきっと少なくないんでしょうが。
「他人の言葉に対する寛容は時に、自分が言葉に重きを置かない人の怠慢の証です。怒りを忘れない人は、言葉で戦っている人は、日本に住むあなたの周りにいるでしょうか」
「ロンドンの事件の前後にも切れ目なく、イスラエルやイラクからは自爆テロや戦闘による死傷の報道が流れています。昨日もまた、イラクでタンクローリーを使った自爆テロが起き、70人以上が亡くなりました。9・11事件後、世界中を覆い始めた社会の砂漠化が、とうとうロンドンにまで来てしまった。残念ですが、それが実感です」
本文からの引用です。こうした言葉を著者は、名著と呼ばれる小説の古典や、「映画」の名作から最近の作品をふんだんに引用して論じています。知的営みの遺産とも言える作品をベースにした、こうした方法は、私たちが、現在おこっていることがらの背景に何があるのかについて、想像力を働かすことを助けてくれます。
ある研究者の方から、「最近の運動には文化がない」と言われたことがあります。なるほど、文化は、私たちの想像力を刺激するのです。
どうしても、私の読書は偏る傾向があります。少し視野を広げ、新しい想像力をかき立ててくれる力になればと思うんですが。
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