自民党 迂回献金システムの闇
自民党は変わったのか、そんな問題意識で読んだ本だ。東京新聞の取材班が総力をつくして調査した報道がここにある。
そんなにすごいという感想はないが、深い深い闇がここにある。歯科医師会という、性格的にも特殊な団体がおこした特殊な事件ではけっしてない。橋本派の使途不明金のいったんはここにある。しかし、これは橋本派の問題ではなく、この政治とカネの関係は、小泉内閣の中枢にもおよんでいる。石原伸晃しかり、山崎拓しかり。
では、自民党は変わったのか? たぶん過渡期なんだろうと思う。自民党が依拠してきた勢力との関係は、カネの面でも実態の面でも決してかわったわけではないことは、選挙中、刺客と呼ばれた候補者たちが、必死で業界団体をまわっていたこと1つをとっても明らかだろう。そして、この政治とカネの問題は、小泉首相が決して語らない問題の1つでもある。
でも、小泉改革は、よりシンプルにグローバルな企業の展開に集中した政治をすすめようと指向する。そこで生まれる矛盾、乖離を資金の面で埋めようというのが政党助成金だということができる。
しかし、政党助成金は、資金の面でも、組織という面でも解決しようがない問題をはらんでいる。麻薬のような政党助成金に依拠する政党は、国民に決して根を張ることはできない。宙にうく、不確かな自民党がそこにはある。
たぶん、ダッチロールのように自民党は、劇場政治を展開したり、右や左に揺れながらすすんでいくしかない。その間、政治とカネの問題は、表に出たり、隠れたりし続けるんだろうと思う。
国民に根をはり、国民の政治的要求をストレートに反映する政党が、政治の主たるアクターとして登場することになれば、日本の政治は大きく変わる。
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