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2005/10/12

団塊の世代いろいろ

 いま雑誌や新聞で、団塊の世代についての議論が、さかんです。堺屋太一が、団塊の世代の消費が、今後の日本経済をバラ色に導くみたいな議論をすすめて、それが加速しているようんな感じです。今月の中央公論などは、「団塊世代の老年格差社会」という特集まで組んでいます。

 その堺屋氏が、松原隆一郎氏と「会社人間は呪縛を解かねば日本ごと沈む」というテーマで対談。職縁社会から切り離された彼らは、過去の栄華を捨て、まったく新しい消費文化に入ることをすすめています。慶応の熊坂氏は「”福祉”を求める老人は負け犬になる」というどきっとしたテーマで格差社会を予想します。

 まあ、そのほかも興味深い内容ですが、私が団塊世代に対してもつイメージは、やはり反感のほうが多いのが正直なところです。『大人になれないまま成熟するために』(金原端人著)なんて、感覚的には近いですね。『昔、革命的だったお父さんたちへ―「団塊世代」の登場と終焉 』(林 信吾, 葛岡 智恭著)まではいかないですけどね。
 うちのつれ合いなんて、もっと極端な反感を持っています。50代半ばで退職していく先輩の先生方をみて、いいところだけとって、厳しいなかたたかおうとしないのは卑怯だと。

 先日の毎日新聞でも、このテーマをとりあげていて、慶応の金子勝氏が次のように書いていた。

 「今団塊の世代が定年後も働いて社会の主人公になってゆけば、日本経済の見通しは明るいなどという癒しのメッセージが盛んに送られるようになっている。だが、冷静に現実を見ろ」「今の日本の社会は、少なくとも400万人を超えるフリーターや約80万人ものニートがおり、今も増え続けている。こんなフリーターだらけの社会で、団塊の世代が(定年後もなお自分たちの都合を優先して)臨時雇用や安い賃金で働き出せば、若者たちはますます安い給料で過重労働を強いられるか、使い捨てのフリーターばかりになる……、しかも団塊の世代の年金を支える多くはフリーターだ。彼らはフリーターゆえに結婚できず、子供もつくれない。出生率の低下はとまらない……国と地方の財政赤字は1000兆円を超え、すでに公的年金の積み立て不足は800兆円に及ぶ。このままで年金制度がもつと考えるほうがおかしい」「根拠のない癒しのメッセージに騙されてはいけない」「今団塊の世代に求められているのは社会的責任を果たすことだ。それは自らが定年退職する2007年になる前に、年金制度や雇用ルールを持続可能にする政治を選択することだ」「だが先の総選挙でそのチャンスを逃した……責任を果たせなければ団塊の世代はずっと社会のお荷物になり続けるだろう」

 でもねえ、団塊の世代はマジョリティだから。
 僕らが、考えなければならないことは、こうした世代論をどう乗り越えていくのかということかもしれないなあ。そうしないと、若ければ若いほど、たいへんな社会、経済だけが遺されていくから。

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