20世紀ドイツ史(続き)
先日、この石田勇治さんの『20世紀ドイツ史』という本の前半の感想を書きました。今日、後半も読み終えました。後半の「テーマで学ぶ」は、前半の通史より、数倍も刺激的で、面白く、夢中にさせてくれました。
「帝国の幻影」では、よく聞くドイツにとっての「ライヒ」という言葉のもつ意味、いわば特殊な国家観がどのような役割をはたしたのか、「戦争責任問題とヴァイマル外交」では、第一次世界大戦の開戦責任をめぐる議論が、ヴァイマル共和制の崩壊にどうかかわったのか――現在の日本に重ね合わせて考えざるをえません。「あるドイツ・ユダヤ人の軌跡」から「強制移住から大量虐殺へ」そして「東部戦線」の各章は、ナチのホロコーストにたいしての理解を、より立体的に深めてくれます。はっきりいって、これまでの理解は、その前史や、展開や、そこにかかわってのユダヤ人のことなど何も知らなかったようにも思えます。そして「『過去の克服』とは何か」と「あとがき」は、あたらめて、日本に生きる私たちが、このドイツ史から何を学ぶのかを考えさせられます。
しっかりと、ドイツ史を学びたいとともに、日本史ももう一度も、二度も学んでみたい。戦後六〇年の今年、靖国に行く首相がいる国で、私たちが考えなければならないことは少なくないでしょうね。
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