富豪の60年
昨日の朝日新聞の「戦後60年」のコーナーは、「富豪の60年」というテーマだった。そこで取り上げられていた富豪の1人が、折口雅博氏、グッドウイルグループの会長だ。本社は、六本木ヒルズ。プライベートジェット機をもち、別荘をもち、プール、フットサルのコートなど趣味の施設もあるという。彼は言ってのける。「一定以上持つと、もうそれ以上持っても意味がないのがお金。毎日、高級ステーキを食べるわけでなし、私なんか、納豆と赤身肉中心の食生活です。大きな仕事をなしとげた達成感。求めるものはそちらです」
同時に彼は言う。「今の格差社会は、いい社会。だれでもがんばれば勝者になれる。人間の能力にそんな違いはない。差は努力したか、しなかったかだけですよ」と。
いつの時代からか、こういう人のこういう発言が、社会で当たり前のようにおこなわれるようになった。堀江貴文氏や三木谷浩史氏なんて、まるでアイドルあつかいだ。だれもがこういう人の発言には共感しているわけではないとは思うが、あまりに不自然なく、こうした発言が受け入れられると、気持ち悪いぐらいの違和感を感じてしまう。はたして、社会からいま弱者が大量に切り捨てられようとしているのは、努力のちがいだけなのか。
同じ欄で、内橋克人氏が、言っていた。「今の成功者の言動を見ていると、自分を肯定し、チャンスはみな平等にあったと錯覚している。格差の拡大を是認しているようにさえ見える。自分へのさめた目がない。実につまらないですね」と。
もはや、こう感じるのは、少数者なんだろうか。香山リカさんの『いまどきの常識』を読んだときも思ったが、この違和感が、マイノリティのものになっているのか、そうではないのか。そうでないのなら、なぜ、一方で、公然とこうした主張がひろがるのか。いろいろ思いめぐらせてしまう。
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