国民投票法(補足)
senseさんから、ていねいなTBをいただきました。ありがとうございます。ブログで、まじまな議論ができるってことは、すごくいいことだと思うし、刺激にもなります。とくに若い方の意見を聞けることはうれしいかぎりです。senseさんのいうように、9条の問題について、しっかり議論したいところですが、私も同じく、忙しい身の上、少し時間的に、余裕が出たら、こちらからエントリーしてみたいと思います。いかがでしょうか。
今日のところは、senseさんへの反論というより、短時間で書いているブログでもあるので、昨日のエントリーに、舌足らずの点があったので、それを補足したいと思います。つれづれ日記さんからも、コメントとTBをいただきましたの、その指摘にもこたえることにもなると思いますので。
国民投票法については、実は、出てきている法案に即して、議論するというのが、本来のスジでもあると思います。すでに2001年11月に発表された憲法調査推進議員連盟の日本国憲法改正国民投票法案というものがあり、与党は、これを基礎に、若干の修正を加えたものを日本国憲法国民投票法案骨子(案)というものをつくっています。これらへの批判は、日本弁護士会が、すでに、批判の意見書を作成しているので、それを参考にしていただければと思います。
問題は、では、一般的に、国民投票法を考えたときはどうかという問題です。憲法そのものが、「改正」を前提につくられているわけだから、国民投票法は必要ではないか、と言われると、それ自体はなかなか、否定できるもではありません。しかし、「しかし」がつくのです。
なぜなら、どんなに国民の意思を民主的に反映できる、国民投票法をつくったとしても、それによって国民の意思が十分反映されないような巧妙なしかけを、改憲をすすめようという自民党が考えているからです。それが「改正」の手続きにもとづく、「新憲法」の制定です。おそらく中曽根さんあたりが考えたことなのでしょう。そのことによって、「一括」による投票にもちこもうというねらいが見えているからです。
現在の改憲のねらいが、9条にあることは、第一次案を発表したさい、桝添事務局長が明言しています。この9条の改憲を、その他の項目とならんで「一括」でおこなおうというのです。
つまり、「いまのような憲法をめぐる状況のもとでは、いかなる国民投票法にものるべきではない」――こういえば、私の真意が伝わるでしょうか。
« ほんとは言いたいことがたくさんある? | トップページ | そこそこ刺激的な日々? »
「政治」カテゴリの記事
- 河野大臣「自由に働き方を決められる制度が大事」 希望者には“勤務時間の上限廃止”も 働き方の規制緩和を表明(2024.09.05)
- 沖縄県の原告適格性、二審でも認めず 県は上告を検討 高裁那覇支部 新基地建設を巡る県と国の14訴訟で最後の係争案件 玉城デニー知事「残念」(2024.09.03)
- ほんとに、総選挙はいつになるのか(2024.09.02)
- 小1の不登校が2年で倍増 「幼・保・小」の連携で対応(2024.09.01)
- 自衛隊、宮古・八重山や奄美に新拠点検討 2025年度の概算要求 訓練場や補給の適地有無を調査 2027年度には那覇に対空電子戦部隊(2024.08.31)
コメント
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 国民投票法(補足):
» 憲法改正国民投票法案 [あくてぃぶ・そなあ]
憲法改正国民投票法案の全文はこちら。
この法案での問題点は日弁連のこのサイトをご覧ください。PDFなので
ちょっと重いですが。そこに記されている要旨は、
1.個別の条項ごとに賛否の意志を表示できる投票方法とすべきである。
2.表現の自由、国民投票運動の自由が最大限尊重されなければならない。
3.発議から投票までの期間は、十分な国民的論議を保障するに足りる期間と
すべきである。
4.賛成は、少なくとも総投票数の過半... [続きを読む]
» 【緊急】 小泉ファッショ政権の暗黒立法,『国民投票法』が上程されようとしている 【シバレイのbl... [エクソダス2005《脱米救国》国民運動]
シバレイのblog 新イラク取材日記
転載: http://reishiva.exblog.jp/3509092/
警告!独裁国家並みの改憲ファシズムがやって来る!!
衆院議席の3分の2以上、つまり野党や参院を無力化し、どんな法案でも通すことが出来る力を与党が得たことについては、小泉支持層すら「勝ちすぎ」との不安を抱いたようだが(関連情報)、その不安は正に現実のものとなったようだ。
*国民投票法案提出で一致 与党幹事長、特別国会へ この国民投票法案とは、憲法改正(改悪)のための国民... [続きを読む]
TBありがとうございました。
私の問いに正面からお答えいただけず、残念です。
日弁連の意見書に賛同のお立場とは思えなかっただけに、日弁連を持ち出されるとは意外でした。はぐらかされたかな、というのが正直な気持ちです。
お暇な時で構いませんので、回答をいただければ幸いです。
投稿: おさま | 2005/09/18 21:57
申し訳ありません。はぐらかしているつもりはありません。正面から答えていないのは事実でしょうが。正確な回答は、後日、エントリーしたいとは思います。
ただ、国民投票法が制定されていないことが、国民の権利が侵害されているとは思いません。具体的に、なんら、国民に損害をあたているのではないからです。改憲派の小林節慶大教授なども、障害のある人が投票できないということなどは、権利の侵害にあたるが、国民投票法がないことはそれにあてはまらないなどと主張されているのを、新聞で読んだ記憶があります。出典は、ちゃんと調べておくようにしますが、それも後日。
では。
投稿: YOU→おさま | 2005/09/18 22:18
はじめまして。
やっぱり投票方式が一番の問題ですよね。
日弁連の意見書にあるように、個別投票じゃないとまずいと思います。
憲法改正は国民主権の権力的契機としての側面が発露される非常に数少ない機会ですから、重要性は特に高いわけですし。
(ただ相互に不可分な関係にある条文の改正の場合、矛盾した結果を生じないように必要な範囲で一括投票を許さないといけないとは思います。基準など、非常に難しいですけど)
それから、憲法全面改正の場合には例外的に一括投票ができる途も無いといけませんよね。不安はありますが、当面のことではなく長期的視野で考えると、必要かと思います。
ただし、実質的な改憲ポイントが少数であるにもかかわらず、それらを一括投票に付したいだけの理由で、憲法全体の文言や条文配置をいじって全面改正の体裁を繕うというような個別投票原則の潜脱が考えられますから、これを許さない仕組みは絶対に必要かと思います。(具体的には、難問ですが)
投稿: nao | 2005/10/07 07:14
いよいよ特別委員会の議論もスタートし、今日の夕刊には、自民党の草案の骨格についての報道が掲載されています。
国民投票法の議論は、むずかしいと思います。ただ、すでに、憲法「改正」にかかわる議論が現実のものとなっている現在、その「改正」なるものが、何をめざしているのかということと切り離して、議論するというのは、現実に「改正」の議論をどうすすめていくのかということを考えると、公正なことだとはどうしても思えないのですが、いかがでしょうか。
投稿: YOU→nao | 2005/10/07 23:54
国民投票法は価値中立的な手続法たるべきものであって、各プレイヤーは自分が理想とする憲法案にとって有利かどうかといった観点から完全に離れて、ひたすら「どうすれば国民主権の実現に最大限資するか」という観点から立法作業を進めていくというのが本来あるべき姿であるわけですよね。
ところが現実には、与党が自己の憲法改正案が通り易くなるような手続を構築しようとしているように見える。これはまずい。不公正ではないか。
YOUさんが「公正なことだとはどうしても思えない」というのは、上記のようなことを指すと考えて良いのでしょうか?
だとすれば、その通りだと思います。
国民投票法の立法に際しては「どんな制度が最も国民主権に適うのか」という点が主要な論点になって(というか、それが全てで)当然だと思うのですが、現状ではあまりそうなっているとは思えないですね。(もちろん、建前には含まれていますが)
議論全体がどこかで致命的にずれている気がします。
心配です。
私は、国民投票によって国民主権が十全に果たされたと言うためには最低限、個別投票方式に拠らなければならないと考えています。
と言いますか、気楽な学生の身分から自由に意見を述べるならば、一括投票方式は違憲であるとさえ思っています。国民主権が機能する機会を実質的に損なうものだからです。
ただし、これが私の望む憲法案の実現にとって有利か否かはわかりません。ですが、そうした視点は排除して議論を進めるのが手続を構築する際の本道ですよね。
私見ですが、YOUさんの考えておられることと近いのではないかと、なんとなく思います。
投稿: nao | 2005/10/08 02:31