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2005/07/10

文民統制

00024629 こういう議論は、もしかしたらいまこの人しかできないかもしれない。著者は纐纈厚さん。軍事史の専門家である。
 防衛大綱の改定に前後して、3自衛隊の統合化が散々議論され、制服組から防衛参事官制度の廃止が提案され話題になった。戦後日本においては、9条にあいはんする自衛隊については、その縛りから、いわば自衛隊のあり方について本格的に議論することはタブー視されたという面は否めない。軍事によらない世界のあり方、政治の在り方を追求することの意義を、著者は積極的に指示しながら、実際に存在する自衛隊とどうつきあうのかという問題を提起する。アメリカの要請で、自衛隊は海外での展開をすすめる。共同演習が重なり、共同行動がめざされれば、いま自衛隊に存在する、文官による制服の統制というものはじゃまになる。政治の軍事化をめざす政治家はそれを支持する。そのなかでうまれているのが先の動きである。
 軍と民主主義は本来あいいれない。だからこそ、どの国も、その民主主義のもとにどう軍を位置づけ、統制するかについて、苦労している。しかし、日本社会で、9条のもと、この点でも国民意識、政治の在り方は成熟していない。どころか、今の政治は、明らかに、その空洞化をすすめようとしている。だからこそ、軍事力によらない政治をめざしつつ、この問題に正面から向き合うことも、もはやさけられないのは事実である。活発に議論がなされるべき、刺激的な書物である。

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