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2005/03/11

聞き書 宮澤喜一回顧録

 岩波書店から発刊された、『聞き書 宮澤喜一回顧録』を読んでいます。日記などとはちがい現在の時点からの回想ですから、新しい発見がそんなにあるわけではないのですが、ところどころに面白い記述はみられます。まだ途中ですが、面白かったのは――。
 なにしろ、安保条約の制定にかかわった人間で日本側で生存しているのは、唯一宮澤氏だけです。サンフランシスコ講和条約にいたる過程の、いわゆる池田ミッション=安保条約をむすんで、米軍の駐留を継続する提案あたりの記述は、それなり生々しさがあります。講和のさい、全権団には最後まで安保の内容は隠されていたことや、政府のなかでも吉田首相と外務省の西村熊雄ぐらいしかその内容は知らなかったということなども。結果として、安保は6人の全権のうち、吉田1人のみが参加で締結された経過はよくわかります。日本の再軍備をめぐる問題では、吉田は再軍備に消極的だったと書いてあります。しかし、一般的に理解されているように、再軍備そのもの吉田が抵抗したということは書いてありません。、むしろ、吉田には、旧陸軍の辰巳というブレーンがいたことなども明らかにされています。つまり、旧軍と無関係ではなかった。もともと、アメリカの方でも、再軍備にあたっては、いろんな旧軍との回路があって、そのなかで服部卓四郎などの流れは排除されていくわけですが、再軍備にあたってはその他の回路がかかわっています。辰巳なる人物もその1人のようです。この事実をみても、吉田が再軍備に消極的だったというのは俗説に過ぎないことは伺えます。ダワーの『敗北を抱きしめて』の訳者である、三浦陽一さんが、アメリカの再軍備要求はもともと段階的であったと言われていますが(『吉田首相とサンフランシスコ講和』)、三浦さんがいうように、講和と再軍備をめぐっても、アメリカに追随的だった吉田の姿が、行間から推測できる事実が、『回顧録』のなかにもあるように思えます。

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