職業としてのジャーナリスト
岩波書店から「ジャーナリズムの条件」というシリーズとして出版がはじまった、第一巻『職業としてのジャーナリスト』を読みました。筑紫哲也さんの総論のほか、防衛庁リスト事件や、沖縄返還密約事件報道を検証したドキュメンタリー、薬害エイズ、水俣病報道の検証、台湾問題などⅠ章の「ジャーナリストの仕事」には、すぐれた報道をすすめたジャーナリスト自身がその経験やそれをささえたものが何であったのか、興味深く読みました。知らなかったことも少なくなく、励みにもなります。Ⅱ章では、「ニュース・バリューとは何か」と題して、ジャーナルズムをとりまく状況を、発信者自身が語っていて面白かったです。そして、Ⅲ章で「ジャーナリズムに求められているもの」経験のある大物ジャーナリストが、その在り方を問いかけます。ここのジャーナリストの奮闘は少なくありません。しかし、メディアをとりまく大状況はむしろ閉塞感のほうが大きいように思えます。日本の閉塞感をつくりだしている最大の要因でもあるように思えます。どこに、その打開の道があるのでしょうか。私は、大谷昭宏さんが書いていた「北海道新聞」と「高知新聞」の警察の裏金づくりを丹念におった話に興味が引かれました。
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