軍事の論理
相変わらず、乱読の日々は続きます。最近読んでいる本に、『常識として軍事学』(中公新書ラクレ)という、自衛隊OBで、現在も自衛隊の広報活動にかかわっている人が書いています。現代政治の最先端の分野が軍事であるとでもいうような本です。しかも、現代の技術の発展をささえているのは軍事だと。
たしかに、日本においても、近代化の過程で軍隊のはたしたやくわりを否定することはできません。しかし、この本を読んでいると、20世紀の戦争の違法化の努力や、現在もヨーロッパでとりくまれておいような軍事をどう抑制していくのかなどの、努力はまったく視野の外です。ただ、軍事こそが未来を決めるとでも言いたげです。この本を読んでいると、なるほど、軍隊というのはこういう論理ですすんでいるのかというのがよくわかります。とくに日本の自衛隊は、鬼っ子的な存在であるだけで、公式に軍隊をコントロールするすべを政治が充分持っているとは思えません。
今日、スマトラでも、新潟でも、自衛隊の活動は否定できません。やくにたつものがあるなら人道的にそれをつかうということも緊急にはあるでしょう。しかし、軍隊が、われわれの常識とはかなりちがう論理で動いていることはよく考える必要もあると思います。私たちが自衛隊にたいし、つねに監視の目をもっていなければならないのも事実なのです。
最後に、この本が語ろうとしない側面が自衛隊にはあるように思います。米軍との関係です。この点は、いずれまた。
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