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2005/01/26

やっぱり東大も学費値上げだって

 やっぱり東大も学費値上げだって、どこまでいくんだろう。

来年度授業料について 学生の皆さんへ ―来年度東京大学の授業料について

平成17年1月25日 東京大学総長 佐々木 毅

 平成17年度の政府予算において、国立大学の授業料設定の基準となる授業料標準額を、現行の52万800円から53万5800円に引き上げることが提示されています。この標準額の引き上げが、国立大学法人化が実施された最初の年に、政府からあたかも当然であるかのように提示されたことを、東京大学はきわめて遺憾に受けとめています。
 以前は、政府の決定がそのまま授業料の値上げになっていましたが、法人化後は、授業料の最終決定は、標準額の10%増しを上限として、個々の大学の判断に委ねられるようになりました。では、東京大学には、標準額の値上げにもかかわらずその授業料の値上げを見送るという道があるのでしょうか。これは、残念ながらきわめて困難です。まず、国から交付される運営費交付金は、標準額による授業料収入があることを前提として措置されており、授業料値上げを見送ることは大学にとっては減収を意味しています。さらに、授業料収入の不足は年度ごとに累積する性格のものです。しかも、運営費交付金には効率化が課せられ、事態はますます深刻化します。法人化初年度で、まだ財政の見通しが確立していない段階で、累積性をもつ授業料据え置きを決めることは、大学にとっては危険な冒険にならざるをえません。また、法人化以後、東京大学でも基金を設けるなど独自の財源の確保に乗り出していますが、この努力も緒に就いたばかりで、授業料の値上げを見送る穴を埋める力はまだありません。
 したがって、きわめて遺憾ではありますが、現状では、標準額が引き上げられた場合は、東京大学としては、授業料の値上げを皆さんにお願いせざるをえない状況にあります。
 しかしながら、同時に東京大学は、「経済的に貧しくとも、優秀であれば東京大学で勉強できる」という伝統を、21世紀に継承したいと考えています。東京大学は、教育の機会均等の実現を責務とする国立大学である上に、「世界の東京大学」として日本と世界の未来の学術研究の担い手を育てる使命をもち、貧富などの差によらず優秀な人材を結集するという使命をもっています。今回の授業料標準額の値上げに対し、東京大学がとりうる選択の幅はきわめて狭いのですが、こうした東京大学の責務に鑑み、大学の財政事情の許す範囲内で、次のような施策をとることにしました。
 まず東京大学は、大学院博士課程に関しては、今回は授業料値上げを見送ります。これは、博士課程の学生では、親の収入に頼らない独立家計の者の比率が高く、また1000名近い外国人留学生がおり、若干であれ授業料が上がることは、少なからぬ学生の学問への志を断ち切る危惧があるからです。なお研究生も、留学生の比率が高いので、今回は授業料を据え置くことにします。
 これに対して、学部と大学院修士課程、および聴講生については、遺憾ではありますが、標準額相当の授業料値上げを在学生を含め実施することにします。具体的には、学部と修士課程の学生の授業料は535,800円に値上げ、聴講生の授業料は1単位あたり14,800円に値上げされます。ただし、この値上げで経済的に困難を抱える学生の就学を断念するような事態をできるだけ少なくするため、文科省が定める大学の授業料実収の5.8%という枠を超えて、授業料免除の枠を拡大します。特に授業料が上がる学部と大学院修士課程に対しては、授業料の全額免除になる学生数を平成16年度の実績よりも10%以上拡大したいと考えています。
 また、東京大学は、平成16年度から、大学院の私費留学生に対する東京大学フェローシップ、学部後期課程、大学院生の短期留学支援、大学院生の海外での学会参加や調査の支援、学部生を対象としたジュニアTA(ティーチング・アシスタント)という4本の柱からなる、東京大学独自の奨励制度を開始しています。今後は、この奨励制度の充実も、あわせてはかることにします。
 今回の授業料値上げは、東京大学としては、文科省令が改定され標準額値上げが決まった場合、やむをえない措置として実施するものです。省令改定は、国会での17年度予算審議を待って行われるものですが、東京大学は、皆さんに来年度の授業料の見通しを示す責務があり、標準額値上げへの対応策を現時点で明示したいと考えました。
 このように、文科省による標準額値上げを前提としてではありますが、最終的には東京大学が、大学の決定として、学部と大学院修士課程の新入生と在学生の皆さん、聴講生の皆さんの授業料を引き上げることになります。東京大学はこのことを重く受け止め、教職員一同、新たな決意をもって、東京大学における教育の質のさらなる向上と、学生の学習環境の整備にあたりたいと思います。学生の皆さん、学費負担者の皆さまには、東京大学をめぐる諸般の事情をご理解いただきますよう、お願いいたします。

 

ちなみに東大の先生たちでつくる東大職員組合は次のような見解を発表しています

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