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2005/01/09

雑誌の論文から

雑誌『世界』2月号に、纐纈厚さんの「これは”法によるクーデター”である――陸自幹部改憲案作成事件」という小論が掲載されていて、興味深く読みました。12月に発覚した、陸自2佐による改憲案の自民党憲法調査会への提出という事件について、考察して論文でが、事件そのものが露骨な現憲法全面否定の性格をもつものであったことと同時に、その背景に、自民党を先頭とした政治家の外交の諸問題を力の政策によって解決しようとする動向と、そのもとで、自衛隊の制服組の暴走がはじまっているという指摘は、そのとおりだと思いました。氏も指摘されていますが、昨年の陸自幹部による、参事官制度の廃止提案などをみて、私も、そのことを強く感じて、いろんな人と議論したことがあります。とくに、これまで、9条による制約の強さから、押さえられてきた、むき出しの軍事力信仰がこの間、一気に肥大化してしまいそうな危惧をもたざるを得ないのです。一方でたとえば箕輪さんのような専守防衛を掲げる方の、議論は、驚くほど一貫性があって、とても勉強にはなったのですが、ほんとうに今後、シビリアンコントロールが機能する保証があるのかと疑問をもたざるを得ない面もあるのです。こういうと、だから現実にあわせた歯止めをという改憲論議が生まれるのですが、考えてみれば、ハードルを低くしたからと言って、いまはじまった暴走を押しとどめる効果があるかは大きな疑問です。ここは、もう一度、9条のもつ規範性というものに立ち返りたいと思います。最近、伊勢崎賢治さんという方が書いた『武装解除』という本(講談社現代新書)を読んだのですが(とても面白かったです)、現実に紛争のなかで武装解除をすすめた、きわめて現実主義的な思考をされる方が、この点を強調されていたのは新鮮であり、かつ説得力を感じました。

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