学力問題と教育基本法
8日は、東大のCOE、基礎学力研究開発センターのシンポジウムをのぞいてきました。「国際学力調査をどううけとめるか」というテーマで、「PISA・TIMSSの結果概要」を村山さんという若手の研究者、「教育心理学の立場から」として、市川伸一さんが今回の学力論争の整理、「比較教育学の立場から」として、恒吉僚子さんがアメリカの学力政策のどうこうをみずからの体験もまじえ、最後に金子元久先生が、考える視点みたいな問題提起がありました。個人的には恒吉さんの報告がおもしろかったです。周回遅れのランナー?として、アメリカの教訓をどううけとめるかは、おもしろいテーマです。
大きな話題になっているPISA・TIMSSの調査ですが、全体として、学力の低下という問題が、いまの教育危機の大きな側面として、生じていることには異論がないなかで、実際には、その原因をどうとらえるか、どう打開していくのかでは、たくさんのナイーブな問題がありますね。そもそも学力とはいったいなんなのかというところから出発して、分厚い議論が大事なのでしょうね。この問題は、あせらず、ことしの前半の課題としてとりくんでいきたいと思います。
9日は、教育科学研究会の教育基本法の集会にいってきました。佐貫浩さんのメインの報告は、『前衛』1月号の、氏の論文をベースに、少しバージョンアップしたような内容。この氏の力作の論文は、ぜひ読んでほしいです。
最初の田中孝彦先生のあいさつが印象深かったですね。いまの子どもの困難、生きづらさをよく聞き取ることから教育基本法の問題を考えることの重要さを話されました。
議論のなかで、学力問題が提起されたことも印象に残りました。佐貫さんの報告でもふれられましたが、いまの教育危機にどう向き合っていくかを考えることぬきに、教育基本法の論議はむずかしいわけで、この視点先にある答えをもう少しゆっくり考えていきたいという感想を強くもった次第です。
勉強した内容はまたいずれ。
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